第45話
デヴォンだ。デヴォンが戻って来た。ザックはホッと胸を撫で下ろす。
「デヴォン、良かった。あ、煎餅食べるだろう?さっき皆で買ったんだ」
しかしデヴォンはそれを受け取らず、ザックを通り過ぎた。
「ザック、」
「デヴォン?」
「僕はもう君とは旅をしない」
「他にやることができた」
「ザック。君とはここまでだ……」
ラビーの予知通り。
ザックは息を呑む。
「突然ごめん。でも、僕には使命がある」
「それが終わったら、また一緒に……」
ザックがデヴォンに駆け寄り、自由な左手でデヴォンの腕を掴む。
「もちろんだ!」
「あんたがやりたいことがあるなら応援するよ」
「俺たちはずっと友達だ。そうだよな?」
「ザック……」
ザックが眉を下げて笑う。照れくさいな、なんて呟きながら。
「うん。ありがとう。僕は自分がやりたいことをしてみるよ。ストワードへ向かうから、しばらくは会わないかもしれないけど」
「え、えへへ」
ラビーがニコニコ笑ってデヴォンの周りを飛び跳ねた。
「良かったぁ、円満だぁ!」
ザックが頷いた。予知の内容を聞いたときはどうなるかと思ったが、こんなに円満だとは。
「デヴォン、また会おうねー」
「ふん、少しは筋肉を鍛えておくんじゃな」
「デヴォンくん、ぼっちゃんたちの世話をありがとう」
「短い間だったけど、楽しかったのだわ!」
「僕も、楽しかったよ」
デヴォンがザックの左手を握った。
「ありがとう、ザック。この旅で僕は護りたいものができたんだ」
「好きな女か?」
ザックがニヤリと口角を上げる。デヴォンが頬を赤く染めた。
「ま、まぁ。好きっていうか……。とにかく、その子のためにできることをしようと思う」
「知らないうちに恋をしていたとは、やるねェ……」
「邪魔、しないでよ」
「もちろんさ。邪魔なんてしない。応援するよ」
デヴォンは西へ向かう。来た道を引き返してストワードへ行くらしい。
ザックたちはリーシーに顔を見せるためにブンテイ王宮へ入った。
「リーシーさん、ゾナリスです」
「ゾナリス殿!」
中から小さな男の子の声がした。続いて、ペチペチかわいい足音。しっぽを引きずる音も聞こえる。
「アレス……は元気ですか?」
「もちろんです」
「それは何よりです!」
扉が開く音。中にいたのは、赤毛の少年。
「私はフートテチ中央ブンテイを治めている、リーシーと申します」
かわいい三つ編み、つるんとした肌、ぽてっとしたほっぺた、大きな真っ赤な瞳、小さなお口。かわいらしい少年。
「子ども……?」
「私は45歳です!」
ドヤ顔。魔族は老化がゆっくりなのだ。
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