第43話
「僕はもう君とは旅をしない」
「他にやることができた」
「ザック。君とはここまでだ……」
〜フートテチ地区 中央〜
「ダメ!!デヴォンッ……!」
ラビーが飛び起きる。
「デヴォン……?」
同い年の少年は隣で寝ている。ラビーは安堵のため息をついて、その綺麗な金の髪に触れた。
「ん……。ラビー、大丈夫か?」
反対側の隣で寝ていた兄が目を覚ましてしまった。
「予知か?」
「うん……」
「どんなだった」
「……」
「言いたくないなら無理強いはしないが、知らせないと後悔するかもしれない。そうだよな?」
「分かってるよ……」
ラビーが頭を抱える。
「……デヴォンが途中で抜ける未来が見えちゃった」
「おっ、ブンテイが見えたね」
「おおーっ!すごいすごい!ザック、見てよ!フートテチの中で一番強い魔族が君臨していると言われる中央の王宮だよ!早く行こう!」
「あ、あぁ」
デヴォンがゾナリスから鳳凰にもらった地図を「貸して!」と半ば奪い取ってブンテイへ走る。
(抜ける?デヴォンが?)
信じられない。こんなに旅を楽しんでいるのに。
デヴォンはいつでも楽しそうだった。シャフマへ向かう道も、シャフマでも、蒸気機関車でも、そしてフートテチに来ても。
それはデヴォンがストワードにある小さな小屋からほとんど出たことがないから。彼は満たされない好奇心をずっと持て余していたのだ。そこにザックが来た。魔法を極めたいから旅に同行したい。そういう話ではなかったか。
(いや、もしかしてブンテイで魔法を極めるのかもしれない)
フートテチ中央のすごい魔族から力を授かったりして?
(デヴォンが納得して旅をやめるなら、俺に止める理由はないよな……)
〜フートテチ地区 中央 ブンテイ〜
「本日も異常ナシですね!」
三つ編みの少年が王宮の二階から外を眺める。
「異常ナシだぜ!リーシー!」
銀色の毛をした狼の魔族が変化して背の高い人間の女になった。
「ミカエラ。そっちも異常無しですか。良かったです」
「おう!ただ、アレストが来てるだけだ」
「異常アリじゃないですか!」
「いいじゃねェか。アレストだぜ?」
「アレストは50歳ですよ!ちゃんとオジサンでしたか?」
「あっ、そうか。人間は老化が早いんだった。いや、20代に見えたな。でもよ、すっげーアレストに似てるんだぜ!ぜってーアレスト!昔から来た!」
「……もしかして、息子殿ですかね?」
「そうかもな!二人いたし!なぁ、会いに行っていいか?」
「いいですよ。でも人間の姿で行ってくださいね」
「よっしゃぁ!」
ミカエラが笑って親指を立てた。
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