第40話
鳳凰。虹色の翼を持つ、美しく大きな鳥。
ザックの目の前に、今、姿を現している。
「私は鳳凰!この地域の神だ!」
翼をバサバサさせる。虹色の羽が何枚か落ち、デヴォンとラビーが拾った。
「すごい!鳳凰族だ!実在したんだ」
「綺麗な羽だぁ〜!も〜らいっ!」
「私の羽ならいくらでも渡そう!君たちは観光客かな!?」
ザックが頷く。
「ソクジュは素晴らしい土地だ!なんせこの私が神なのだからね!」
大仰に胸を張る。
「ええと、神様……?でいいのかな。少し行きたいことがあるんだけど」
ゾナリスがおもむろに手を挙げる。
「はい!そこの君!何かな?」
「最短で東の果てへ向かいたい。いいルートを教えて欲しい」
「……!任せたまえ!」
鳳凰がまた翼をバサバサさせる。風が起き、羽が飛ぶ。
「私は君たちを導く神!なんでも知っているんだ!」
鳳凰は地図を渡してくれた。デヴォンがそれをリュックにしまう。
「ありがとう。鳳凰様」
「『様』!?……おほん、当然だ!」
「じゃあそろそろ進もう?」
ヴァレリアが言う。リュウガが鳳凰に背を向け、一番に王宮の出口へ向かう。
「ん?リュウガサン?」
「先を急ぐぞ、ザック」
「……?あぁ。ありがとう、鳳凰様」
「……っ!『様』!!」
鳳凰が虹色の翼を控えめに動かす。
ザックたちはリュウガについて王宮を後にした。
王宮を出る。この街では人間も魔族も関係なく商売をしている。
「フートテチの商業地か……」
デヴォンが虹色の羽を見つめながら零す。
「リュウガさん、鳳凰族ってレアなのかしら?」
テリーナがリュウガを見上げて質問した。
「希少であることは間違いないのう」
「古い絵画がたくさんあるねェ。何年前のものなのか……」
ソクジュの古い建物には、鳳凰の絵画が飾ってあった。
「最近描かれたものも多いが、中には300年以上のものもあるのう」
「そんなにあの鳳凰様が君臨しているんだね……」
ゾナリスの言葉に、リュウガが首を横に振った。
「この国が成立したのは10年前と聞いたじゃろう。つまり、鳳凰が人間の前に姿を現したのはつい最近のことじゃ」
「え、ってことは」
「……どうやら、この地は信仰心と」
リュウガが路地をチラリと見る。白髪の若者が、転んで泣いていた人間の女の子の怪我を手当していた。
「ふふん、なんじゃ。あんな地味な格好しおって。神じゃと豪語しおった癖に」
「?」
同じ魔族のリュウガには分かる。あれは鳳凰の人間体だ。王宮で翼を広げていた神とは思えぬほどの狼狽振りだったが。あの様子だと自分が鳳凰族だとは言っていないのだろう。
「あぁ、大丈夫かい!?痛いのかい!?わ、私は魔族なんだ、白魔法を使ってみよう!」
「信仰心と……」
リュウガが眉を下げて笑う。
「それに見合う神がおるのじゃな」
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