第34話

〜ストワード中央に向かう機関車〜


「結構空いてるんだ。うん、外が良く見えそうだ。ここにしよっと」

デヴォンが窓際の席に座る。

(ザックたち、無事かな……。だいぶ遅くなっちゃったけど、僕も中央に向かうからね)

窓の外は晴天。気温は低いが、雪は降らなさそうだ。順調に行けば2日で中央に着く。

(それにしても、あの研究所はなんだったんだろう。所長の正体も少女の正体も何もわからなかった……)

自分を地下に閉じ込めた組織の詳細は知っておきたい。

(いろいろ考えるよりも合流が先だよね。駅までずっと歩いて疲れたし、少し寝ようかな)

デヴォンがメガネを外し、ゆっくりと瞼を閉じる。

(あ……揺れが心地良い……寝れそう……)


「なんじゃおぬしらァ!!!勝手に触るな!!」


「……」

聞き覚えのある男の声がして、目を半分開ける。長い赤毛の男が何人かのストワード人に着物や髪を触られて暴れているのが見えた。

「リュウガさん……」

「おっ!おぬし、デボンじゃな!……おい、知り合いと合流した!散れ散れィ!」

リュウガが叫ぶと、周りのストワード人たちは渋々リュウガから離れた。

「何かしたんですか?」

「違うわい!赤毛が珍しいだの着物を触りたいだので勝手に盛り上がられただけじゃ!!」

不機嫌な顔をしたリュウガが、デヴォンの向かいにドッカリと座る。

「全く。今は人間の姿じゃというのに。我の体がそんなに珍しいかのう」

「ストワード出身の人間はほとんど金髪か銀髪ですからね」

デヴォンが言うと、リュウガがため息をついた。

「それより無事だったんですね!良かったー!」

「デボンもじゃ。我はてっきりおぬしが一番危ないと思っておったぞ」

リュウガが豪快に笑った。



〜ストワード中央 病院〜


「治ったー……。技教えて?」

ヴァレリアがフィオーレに言う。手術から数時間。まだ痛むが、歩くことは可能だ。

「まだダメよ?あらん、そんなかわいくおねだりできちゃうなんて。うふふふっ、将来有望ね」

「……分かった。今は我慢するし……。でも絶対教えて!約束だし!」

「もちろんよ」

ヴァレリアとフィオーレは顔を見合わせて明るく笑った。


「ヴァレリアちゃん!フィオーレ!」

病室のドアが開き、ゾナリスが顔を出す。

「ザックぼっちゃんが来た!ラビーも無事だ!俺たちも行こう!」

二人がこくりと頷く。

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