バウンダリ編 第4章 第08話 開始

 すでにドアは開いている、警戒しながら一人二人と潜入していく、ただ一歩踏み入れた瞬間から空気の密度が変わりまるで水の中にでもいるような感じを受ける。

 その環境でも、幾度となく繰り返してきたマニュアルに従い淀みなく行動を行う隊員たち、

「警戒、対象は竜単体、予備情報では全長30~50m水と雷」

「了解」

 

 ダンジョン内部は、ボス部屋のため入ってすぐに広くなっている。

 警戒しながら少し進み、一人の隊員がふと上を見上げると、そこにいた・・・

 すぐにハンドサインで停止を出し、上方注視を命令・・・

 見上げたほかの隊員も対象のその大きさにより、対象を見落としていた、天井だと思っていた部分はすでに竜の腹で、音もなく浮かんでいた。


 先の無人偵察機の対象発見ポイントはもっと先のはずだが、しばらく注視し対象は輪になって回転しながら浮遊をしていることが分かった。


「どうします? ひと当てしますか?」

「あれにか・・・まあひと当てして情報を得るのが任務だが、胴体部の幅だけで10m以上はあるな・・・全長は・・・ちょうど顔が行き過ぎたばかりだったのか・・・手と足の間で・・・300mくらいだな?」

「そうですね、陸上の400mトラックをつぶした感じでイメージすると良い位だと思います」

「とりあえず、入口近くに後退し撤退準備後攻撃とする」

「了解」



 山本は、報告を受けながらうなっていた、対象が、伝説からの推測値の10倍で直径1mほどの黒い火の球を撃ってくる、着弾してもなかなか消えない、さらに着弾部周辺で黒い霧の汚染あり、有効魔法はやはり光のみ、物理攻撃は無効、しつこく攻撃をしていると全方位への雷が来る、となっていた。


 攻撃の効きの悪さから多人数での攻略が適当だが、火の玉と全方位への雷を考えると多人数を投入してのち、攻撃を受けたときに発生する被害を考えると、頭の痛くなる内容だった。


 結局は、少人数で入り口側から攻撃を加え、魔力が尽きたら交代する、まるで戦国期の火縄銃三段撃ちですねと誰かが言った。


 そのおかげで、被害も出ず攻撃を重ねていたが、ある隊員が異変に気が付いてしまった・・・前回攻撃を加え損傷させたはずの部位が修復していることを。


 元から、空中にいて緩やかに回転をしているため、同一部位に対し集中的に攻撃することは難しい相手であり、手詰まりとなってしまった。



 このことは、導人にも情報として伝わってきたが、何も思い浮かばずみんなを巻き込むことにした。

「みんなにも集まってもらったけど、何か意見がある人」

「はい、導人が超強力光魔法を撃ちこむ」

「友也らしい意見だ、ほかには?」

「導人が超強力光魔法を撃ちこむ、に一票」

「私も」

「そうだよね、まずはそこからかな」

 と、まことまで言い出した。


「ああ、わかった、一度見に行こうか、大佐に連絡するよ」

「久しぶりに、みんなでお出かけだね」

「俺はパスでいいかな?」

「友也、何さぼろうとしてるんだ、言い出したのはお前だ、当然参加だよ」

「しかも伝説の竜だぞ」

 達男がわくわくした感じでうれしそうにしていた。


「しょうがねぇなぁ、飯はパーッとバーベキューとかにしない?」

「それでもいいけど、周りにほかの隊員とかもいるからたかられるぞ」

「各自弁当だと、俺だけテイクアウト物だから嫌なんだよ」

「お前、まだ彼女とかできないの?」

「幾人かと付き合ったんだけど、1週間しないうちに、なぜか・・・これじゃないってボソッと言われて・・・それから連絡不通になるんだよ」

「何だ、究極のやり捨てやろうか、最低だな」


「違う、捨てられているのは俺の方なの・・・」

「まあねぇ、友也だからしようがないわよね」

「そうねぇ、友也だから」

 どんどん落ち込む、友也。

「仕方ない現場の慰労もかねて、バーベキューしようか」

「酒も」


「今はもう酒大丈夫になったんだっけ?」

「待機中は可ってなってた気がする」

「深いからな、一度行くとしばらく帰ってこれないし」

「いや、導人が監修のシールド張る魔道具、あれで簡易宿舎造るとその中にはモンスターの再発生が起きないんだって、それで休養中は飲酒可になったみたい、ただし個人で持ち込み、正規物資には当然入っていないだって」

「ふーん、そうなんだ、まだ空間魔法が使えないのか、うちの隊員とかには教えたんだけどな」


「持って行って売れば、大儲けできそうだな」

「500mlのビール2千円くらいで、どう?」

「どこの観光地だよ・・・いや、転売か」

「友也・・・するなよ酒類販売は免許が必要で違法だぞ」

「ダンジョン内って、法律有効なの?」

「ああそうか・・・どうだろう?」


「隊の規約の問題か?」

「ああもう、どうでもいいからつまらない事はするな」

「話を戻して、飲んでいいなら、酒とかの物資は持って行って、慰労会を開くそれでいいな」

「りょ」「ほーい」「いいよ」・・・


「事後にばれて怒られると嫌だから、大佐にも確認取っておこう」


「それいいな、わしも参加したいが、会場がダンジョンの199階か、ちょっと厳しいな私からも少し慰労金を出そう、現場のみんなにリフレッシュしてもらってくれ」

「わかりました」


「良いって、大佐からも慰労金が出るって」


「深いからな、大学にも予定日数で申告しなきゃいけないな」

「まあ、準備しよう」

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