バウンダリ編 第4章 第04話 試験

 教官達の絶望的会議から1月上層部よりいきなり士官学校に命令が降って来た、魔法科の全員に対しレンジャー訓練を受けさせよと言うものだった。

 教官たちは、予定カリキュラムを再編して慌てて未修得の不足知識を補う授業を行うこととなった。


 約2週間で関連知識を教え込み、その1週間後からいきなり教練が開始された普通なら考えられない内容だが、教官たちは彼らなら笑いながら全過程を終了する姿がなぜか見えていた。


 普通なら、少数で訓練を行うレンジャー訓練所に突然バスにより30人もの隊員が送られてきた。

 「来たか」それを見ていたのは、今回教官として呼ばれた15名ほどの教官たちであった。


「今回、日程は厳しく初日基礎訓練、その後3泊4日の試験に入る、本来4週をかける訓練を全行程飛ばして、基礎だけを教え最終試験を受けさせる今回の工程は過酷な内容となるが、レンジャーにおいて教育目標の目的は[実戦的環境下で段階的に与えられる困難な想定を克服して、自ら進んで難局にあたる気風を醸成し、旺盛な責任感と体力の限界においても任務を完全に達成する俯仰不屈の気力を涵養する#1]、それを是としている以上、君たちは幸運だと考え自身のすべての力を持って挑んでほしい、以上だ」


 その訓示を聞いて、なんだすべての力を使っていいんだ、ラッキーと気楽に考えていた。


 そして、教官たちはまだ魔法使いというものを理解していなかった、そのことにより自身の在り方に疑問を持ち徽章返還の騒ぎが起る事となる。


 時間がないため、その場で基本装備が配られ、内容を確認すると即時訓練に入った、コースは渡河ありの林間走破およそ10km、教官たちは今から出発だとこの訓練の到着後すぐに生徒たちはレンジャー試験に突入することになるだろうと考えていた、山間部の走破は意外と時間がかかる、それに今回のコースにはクライミングや懸垂下降まで入っている。攻撃や救助が入っていないだけ楽かな?


「さて学生たちのフォローに向かうか」

 教官たちはあらかじめ担当が決められた危険場所に移動していく。


 教官の一人、後藤曹長はゆっくりと生徒たちを追いかけ始める、脱落者をフローするためだ、特に今回は1年生色々無理がある、どうして現職でもつらい訓練を学生が受けることになったのかは不明だが、けが人は出したくないなと考えつつ進むが・・・? 踏み後等から推測すると経路は間違ってはいない、意外と早いな・・・少しスピードを上げた。



 その頃、導人達はすでに行程の3分の一クライミング?をしていた・・・ようやく其処に到着しようとしていた教官は崖に複数の生徒たちが取りつき上っているのを確認する。

 嘘だろう、まだ1時間もたっていないそれにあれはクライミングと呼べるもんじゃない、なんで壁を普通に走っているんだ?


 あわてて、無線で現在位置を報告する。


 それを受信した、教官たちは焦り始める、まっすぐポイントに向かっている自分たちの方が遅れている・・・


 同じくそれを受信した後藤曹長は呆然とする、自分はまだ多分数百mしか進んでいない、奴らは装備付きでこっちは無線機と水くらいだ・・・ついて行けない。


 後藤曹長は無線で生徒たちの人数確認を要請、生徒たちは塊で移動をしているためすぐに人数は把握できた、全員そろっているなら、これから奴らは垂直降下をしてすぐに渡河がある、途中には別の奴らもついているはずだしその先のポイントまで先回りしよう・・・と考えていた時、無線から〈奴ら無茶苦茶だ、崖を飛び降りた・・・カモシカみたいにあっという間に降りていく〉と聞こえた、やばい急ごう。


 渡河場所・・・川幅が30mほどあり、普通はロープを張り全員が渡る、普通は訓練のため教官がおりロープを受け取るが、居なければ幾人かが回り込んで対岸に向かう必要がある、いくらバケモンでも時間は必要なはずだ・・・


 後藤曹長渡河予定の対岸にようやく到着すると、無数の踏み跡が残されているのみだった・・・もう渡ったのか早すぎる。

 無線で、問い合わせると、一人がロープを持って飛び越えてきた、手近な木に確保を取ってあっという間に渡って来た、最後のやつも崖を軽々飛び越えてきた、奴らは人間じゃない、だった。


 実際、15~16時間を予定していた訓練は2時間を待たず終了した。


 訓練終了後、訓練後の訓告をする予定だったが、教官たち自体がついて行けない状況で誰からも言葉が出なかった。


 そのため、急遽部屋割りと、食事の準備を行うこととなった。



 翌日5時に起床し、食事や装備確認7時には出発をした、行程40km今回は敵地攻撃を含む装備重量も50kgとなっている。


 そして、予想通り、教官は誰もついて行けず本来4日の行程は1日で終了された。

 特に敵基地攻撃訓練時の敵側教官は気が付けば拘束されていた。


 この様々な、情報により軍上部では全員魔法使いにする意見と管理の難しさを危惧する勢力のバランスがこれ以降少し崩れていくことになった。








#1出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

"レンジャー (陸上自衛隊)",参照:2022-07-10

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC_(%E9%99%B8%E4%B8%8A%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A)

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