バウンダリ編 第4章 第03話 教練

「本日から3日間かけて行軍教練を行う、最終目的地は東演習場にある敵基地だ、コースはマップを見ながら進め、全体で80kmの行程だ、必ずチェックポイントは通る事、不通過の場合はやり直してもらう、戦闘セットが銃装備含め70kgほどあるが諸君なら大丈夫だろう、普通なら3日程の行程だが別に早くてもかまわんぞ、それと途中に敵からの攻撃もあり得る十分気を付けること、なお攻撃魔法は今回禁止だ、以上」


 導人達、魔法科の行軍教練が今日から始まろうとしている、今出発前のミーティングを行っているが、入学して3か月、すでに身体強化や索敵など基本は皆覚えている。

 隊列的にはクラス単位で移動し、導人達すでに実戦をしている5人が適当に隊列に混ざるしんがりは導人とした。


「さあ行くぞ、フル装備で小銃まで抱えているが身体強化をして一気にダッシュをする」


 周りでその様子を見ている教官たちは、15分でつぶれそうだとかつぶやいているがほかの学科の為魔法使いとの差を知らない・・・十数時間後に彼ら教官は疲れ果て倒れこむことになる。


 驚異的な速度でチェックポイントを攻略し部隊はガンガン進んで行く、慌てて次のチェックポイントのために移動をするが、車を使って行けない場所もあり、準備する教官たちは走り回ることになる、従来なら休息を入れ一日目が終わる地点などとっくに突破されており、2日目に予定された敵襲ポイントも教官がたどり着き配置についた時には半数がすでに抜けていた、また配置についた順番に攻撃を受けあっという間に殲滅された。


 また、教練中の安全確保のために山中に潜んでいた教官も、知らないうちにペイントが弾着していた。


 途中の実弾射撃チェックポイントでも、到着した学生はほとんど息が乱れておらずガンガン的に着弾させチェックポイントを抜けていく。


 そして、みんなが二日目行程も突破した、その報告を受けて準備のため教官たちは全力疾走をする、こっちはもう息絶え絶えとなっており、いくつかのチェックポイントで設置が間に合わず学生に休憩を与える場となってしまった。


 普通ならば、体力が限界を超えフラフラの学生に叱咤激励し、組織行動の重要さと仲間のありがたみを認識させるための訓練が、ただの散歩のように走破されていく。


 

 ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう何がどうなっているんだ・・・学生たちは一式70kgの装備を背負ってなんであの速度で走れる。

 戦闘戦略科の教官は、死に物狂いで次のポイントに走っている、遠回りをしている学生に何で負けるんだ・・・


 ほかの教官たちも走っている、人員を削減し数か所のポイントに個別に向かうようにした、それでも魔法科の生徒たちは楽勝でポイントに到着している、まさかおとぎ話のような空間転移なんか使っているんじゃないだろうな?


 ポイントに向かうとざわざわ声が聞こえる、ちっ無駄話なんか・・・待てよ…ここはもう3日目の中間ポイントなんで無駄話なんかできるほど余裕があるんだ、やっと到着し確認すると全員が整列し補水やレーションを食ってる・・・息の上がって悲壮な顔をしている者など皆無だ・・・


「よし、準備ができた者から射撃に入れ」

 くっくそう息が上がる。

「教官的側旗が上がりません」

「外したんじゃないのか?」

「いえ、全員当たっています」

「裸眼で見えるのか?」

「能力で視力を上げています」

「何でもありかよ」


 教官これをどうぞ、スナイパースコープが手渡される。

「なんでこんなものを持っているんだ?」

「趣味です」

「・・・まあいい」

「全員的中だ次」


「次・・・」



 とんでもない奴らだ、X圏という50mm範囲内に着弾している。

 こんなのはでたらめだ・・・

 その時無線に感があり、的を見に来たが発砲しているので近づけないとのことだが、こっちで確認しているから、次のチェックポイントへ向かえと返信する。


 その後も、誰も外す者もおらずどんどん抜けていく、最終的に導人が的の真ん中を打ち抜きチェックが終了した。


 その時、導人が号令をかけ、いったん整列した時に。

「すまないちょっと背嚢をチェックさせてくれ」

整列している隊員の背嚢を少しずつ持ち上げて重さを確認する。

「すまなかった、異常なし」


「よしそれでは、出発しろ」

 一斉に導人達が移動を開始するが、どう見ても全力疾走だ・・・

「バケモンだろあいつら・・・あのレベルが標準になると死ねる自信があるぞ、やめてくれよ」


「教官全員再訓練とか言い出さんよな・・・」


 どんどんチェックを通過し、最終の敵陣地に突入する、前代未聞の全員がそろって突入し教官側防衛陣地がガンガンつぶされていく、そんなに時間をかけず敵基地も制圧された。


 不思議なことに、防御用の壁とか土塁から手を出すとか、顔を出す瞬間にピンポイントでペイント弾が着弾する、文字通り手も足も出ず壊滅した。



 すべての行程が、わずか1日で終了し、前代未聞となったが提出された報告書で学生たちは、まだまだ時間を詰めれるといった内容が大半で、中にはチェックポイントで取った休憩時間が長すぎたという、教官への嫌味まで入っていた。


 その後の学務会議で、次年度からは魔法学科については行軍教練を行わずダンジョンにて別訓練を行うことになった。


 なお、会議において訓練を担当した教官は口をそろて、あいつらを生身で相手にするのは無理、すでに人間の範囲からはみ出しているという意見が出た。


 ただその意見は、非常に興味深い意見として、学校内部ではなく軍の中で上にあげられた。

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