バウンダリ編 第3章 第06話 実地

 今日は、田村2尉と一緒に実地演習として、管理ダンジョンに魔法科の1年から3年生を連れてきている。


「今までダンジョンに来たものはいるか?」

 全員が手を上げる。

「んんっ」

「ああ、田村2尉中学生の時に見学がありますから」

「ああそうだった、えー質問が悪かった、質問を変える、モンスターを倒したことがあるものいるか?」 

 2年生と3年生全員と1年生が少数だった。

「じゃ大丈夫そうだな」


「時間はどのくらい大丈夫なんだ?」

「行って帰って往復2時間ですね」

「そんなもんなのか?」

「学校とここの往復で一コマつぶれるんです」 

「そうか、時間のコマ割りはちょっと調整が必要だな」

「ええ、モンスター倒さないと強くなれませんからね」


「じゃあ、時間もないことだし適当にチームを作って突撃だ、ただし命大事にを心に刻め、行け」


「余った奴のフォローは達男たち頼む、と、友也は慎重に行け、調子の乗るなよ、俺は3階の奥辺りに行ってストッパーします」

「あ私も行く」とまことが手を上げた。

「じゃあ、そう言うことで2時間後集合だ」


 ある1年生

「いきなり行けって、いい加減にもほどがあるだろう・・・」

「魔法で、遠くから攻撃できるからだろ、ナイフとか近接ならそんな命令は出さんだろう」

「いたぞ、撃て・・・あれ?」

「撃てって言うだけじゃなく、イメージしないと出せないって言ったじゃないか」

 と言いながら、通りすがりの達男が小鬼を倒す。


 ある2年生

「仲間ができなかった、どうしよう?」

 周りをくるくると回転しながら警戒をしている学生が居た、

「魔素の操作はできるんでしょ?」

「うん、そしたら細くとか薄くとかやり易いイメージで伸ばすと違和感を感じることができるの、慣れればどっちが敵でどっちが人間か判断ができるようになる、便利だから覚えて、今右の穴の50mほど先にいるのは小鬼だから覚えて」

「細く・・・伸ばす・・・あっこれ」

「わかった?」

「はい、なんとなくですが」

「くるくる回らなくても周りが分かるようにすぐになれるわ、じゃあね」


 ある3年生

「こんな浅い所なんて敵じゃねえよな」

「ああ、こっちは3年までみっちり魔法なしで実習して来たからな」

 男子の3年生5人ほどがフォーメーションを組みながら、剣で小鬼を倒していく。


「俺たちがトップだろう」

 彼らは口だけではなく確かに実力もあり優れていた、しかし腕力と剣を頼りに魔法を軽視し補助としか考えていなかった。


「そこを降りたら3階だが戻らんとやばいな」

「全部目についたのは倒したからダイジョブだろう?」

「再発生って小鬼は1時間無かったと思うぞ」

「げっ、なら今入口補面からちょうど再発生してきているのか、それって後半になると厳しいってことか?」

「まあ入り口付近はほかのやつらが倒しているだろうけどな」

 ただ彼らは知らなかった、ずいぶん前に、行き過ぎる生徒を止めるために、導人とまことが移動がてら間引いていたことを・・・


 3階の奥で適当に間引いている二人

「もう来ないかな?1時間たったし」

「やっぱり結構遅いんだな・・・最初に身体強化をきっちり練習かな?」

「そうだね、あとは索敵かな?」

「魔素の視認、身体強化、索敵を必須としよう」

「1学期のテストはその3つにしようか」


 適当に身体強化をして、適当に間引きつつ入口に戻っている2人は、モンスターに囲まれた5人を認識する。

「5人いるけど、こんな所までしか来ていなかったのか?」

 少し手前でスピードを落とし、様子をうかがう、何やっているんだあれ?

「なああれって、魔法使っていなよね」

「そうね、でも頼りの剣もぼちぼちダメになりそうね」


 てくてく歩いて近づく。

「なんで魔法を使わないんですか?」


「なっ俺たちより奥にいたのか?」

「そんなことはどうでもいいんですが、魔法は?」


「そんなもん使うより剣の方が早いじゃないか!!」

「・・・」

 周りで、わらわらしていた小鬼が一瞬ではじけ飛ぶ・・・

「おかしいですね、俺たちの常識では魔法の方が圧倒的に早いんですが・・・」

「なっ・・・何をしたんだ?」

「だから普通に、魔法で攻撃しただけです」

「そんなこと・・・」

「できないのは訓練不足ですね、頑張ってください、早く帰らないと間に合いませんよ」


 軽く走り始める、3年生たちもついて来るが必死だ。

「体の中で魔素を循環させて身体強化してください」

 遅れていた数人が追い付いてき始める、導人は後ろ向きに走りながら索敵し攻撃もしている、まことはまだそんな曲芸はできない。

 後ろから追いかけつつそれを見ていた3年生は走っている速度に驚き、後ろ向きに走り出した導人が前を見ることなくくねった道を走っていくのを見て愕然とする、そして曲がり角の向こうからモンスターが見えた瞬間、モンスターが消えていく・・・


「ここから先、まだ戦っている生徒たちが居ます、気を付けてください」

 そう言われてすぐに、戦っている生徒が見えだす。

「それでは、モンスターを気にせず帰ってください」

 と導人いった瞬間、視界範囲からモンスターが消えた・・・

「しんがり努めますから、皆さん帰ってください、時間がありませんよ」

「身体強化を使ってどんどん帰ってください」


 たまに再発生するが、発生した瞬間崩れて消えていく・・・


 その様子を見た生徒たちの多くは、魔法って本当に魔法のようだという奇妙な感想を持ち、訓練に力を入れるようになった。

 

 後日、座学で、

「魔素の視認、身体強化、索敵を今学期のテーマとして学期末に試験をします」

 と宣言をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る