バウンダリ編 第3章 第02話 哀愁
「お疲れ様です」
導人が篠田2尉に挨拶をすると、
「明日が楽しみですね、1年生は結構身体変化があるだろうし・・・」
導人はふと思い出す、
「あっ、そういえば高津さんのお兄さんて、あの時次の日の昼くらいまで倒れていなかった?」
「あ~飛海さん、そういえば遊園地には行けなかったよね」
達男がそう言うとみんなが口々に意見を言う
「個人差はありそうだけど、ありえそうだね、特に2年と3年」:高津
「各教科の先生方には通知したほうがいいかもね」:美馬
「でも詳細は、言えないだろう?」:友也
「・・・ん~素直に、詳細は言えないが、今日魔法使いになるための処置をしたのでそれの影響で明日出席できない生徒がいるかも?かな?」:小田2尉
「ああ、それでいいだろ、で誰が行く?」:篠田2尉
「ここはせっかく来ていただいてる篠田2尉辺りが適任ではないでしょうか? と本官は具申いたします」:導人
「やめてよ、導人くん、一緒に行こう」
「えー、まあいいか」
「山本大佐はもう帰られたんですか?」
「ああ今お忙しいらしい」
「公にしたので、各所からの質問ですか?」
「ああそれと、軍が秘密にしていたことへの突き上げだ」
「軍が秘密って、うちの見張りは公安の人もいたので政府は知っていたんでしょ、探索者協会も最初からメンバーにいたし」
「そうなんだが、いろいろとあるのさ」
てくてく歩き職員室のドアをノックしガラガラと扉を開ける。
「失礼します」
入室すると、戦術論の戦場(せんば)先生が、
「おお、篠田じゃないか、元気でやっているようだな?」
と言ってきた、
「あれ、篠田さんもここの卒業生なんですか?」
「士官はたいていそうだ」
「へぇ~そうなんですね」
「で、先生方にお願いというかお伝えしたいことがあって」
「ああ、あとでみんなに伝えておこう、なんだ?」
「詳細は言えないんですが、さっき、体育館で魔法科の生徒に魔法使いになるための処置をしたんですが、生徒によっては明日の昼くらいまで寝込む可能性があるのでお伝えしておこうと思いまして」
「なんだそりゃ、アレルギーか何か出るのか?」
「まあそんなところです」
「わかった、伝えておこう」
「んっおい、結局人に任せて何を見ているんだ」
「ああ、みんながここの卒業ならこのあたりの写真に写っていないかと思いまして」
「ああ行事の時の記念撮影か・・・もうここに映っていてもいないやつが何人もいるからな」
「そうなんですか?」
「ああ、俺たち5人で最初に潜ったときにも補給部隊が全滅したしな」
「そうでしたね、その話は大佐に聞きました、M部隊を増やす切っ掛けとなったと」
「そうだな」
「おお、小田さんだ・・・不思議だ・・・今の自分と同じ年の彼女が笑っている・・・飛田さんがいないな?」
「おお小田を見つけたか、じゃもう出よう、ここにいて先生に見つかると話が長くなる」
「聞こえたぞ、篠田」
「はっはっは、すいません耳が御達者でいい事ですね、それでは失礼します」
職員室から出て、体育館の方角にある駐車場に向かう。
「お疲れ様です、手間取ったんですか?」
「いや、話は戦場先生が居てすぐ終わったんだが、俺たちがここの卒業生だと言ったら導人くんがお前の写真見つけてにやけていて時間がかかった」
「ちょっ、なんていうことをばらすんですか?」
「えー恥ずかしいけど、同じ年の私かわいかったでしょ、どうだった?」
「ほらーこうなると思った、篠田さんなんとかしてくださいよ」
「そんなもんかわいかったけど、今もかわいいよ、で済むだろ」
「ああそういう返しをすればいいのか・・・え~かわいいです」
「色々足りないけど、うれしいよ」
「飛田さんがいなかったんですが?」
「私は一般から士官学校へ直接入ったから」
「そうなの?」
「さあ、じゃれ終わったらダンジョンに帰るぞ」
「「はーい、それじゃあ後で連絡するね」」
車で帰っていくみんなを見送り、教室に戻った。
「あ~あ昔の集合写真か、そういえば職員室に貼っていたわ」
「同世代かいいなぁ」
「言わないでよ、また、まことちゃんがうらやましくなるじゃない」
「私たちすっかり年の離れたお姉さんポジションだもんね」
「距離感は近いけどね~」
「えっ、導人くんに何したの?」
「ないしょ、うふ」
「はけ~」
「いぃ~やぁ、ふふっ」
そんな会話がされているころ、教室に戻った導人はほかの生徒に囲まれていた。
「なあ、先生よ教えてくれよ」
「ガラの悪やつだな、言っただろう、魔法使いにする方法自体は国として秘匿されている無理にそれを知ろうとする行為自体が守秘義務違反だ」
「そんなもん知らないよ」
「ああっ、守秘と承諾書にサインをしたんだろう?」
「そんなもん読んでねえ」
「サインは、したんだな?」
「してなきゃ、ここにいないだろう、馬鹿なのかおまえ」
振り返り、達男に目配せをする、すると達男は少し離れて隠しカメラで撮影を開始する。
「もう一度聞こう、守秘と承諾書にサインをしたんだな」
「したって言ってんだろう、とっとと魔法使いにする方法を教えろって言ってんだろ」
「周りにいる君たちもそうなのか? 何かの同じグループか?」
ぎゃあぎゃあ言っている首謀者のほかに4人ほど周りを囲んでいる。
「ああ、それをまとめれば買い取ってくれるらしくてな、素直に教えれば少しは分けてやるぞ」
「よし、わかった、もういいだろ」
そう、導人が言った瞬間、地面から雷が立ち上った
「あ~あ、処置の前なら普通の刑務所だったのに残念だなあ」
導人は端末を取り出すと、
「主任は?深見だ・・・そうだいつものやつだが軍学校の高等部、あれ?こいつらって何年?」
「バッジ見ると1年だな」
「わかった、1年のようだ・・・それじゃあ10分後に門のところで、じゃあ」
「5人かめんどくさい、友也、達男手伝って・・・」
「ああついでに撮影データも渡さなきゃな」
「ほかに仲間がいるとめんどくさいからいつもの袋か」
「そうだな」
導人は何もない所から黒い袋を取り出すと、順に押し込んでいく。
この1年半で空間魔法の習得はだいぶできたが完全ではなく空間をつなげて無生物なら大丈夫だがなぜか生物を通すと死んでしまう。手を突っ込むくらいなら大丈夫なんだけどな・・・
帰るための、荷物も持ってみんなで教室を出る。
幾人か、挨拶を交わすが導人達の横には黒い袋が浮いている、上級生の2階から上では問題なかったが、1階に降りて一年生が多くなると周りがざわつき始める、それでも気にせず歩を進めると、学校の門のところに明らかに軍用の窓等に網が張られたバスが到着する、すると10人程度の隊員が武装した状態で展開する、銃口も向けらているが気にせず進み近くに行くとバスの側面にあるドアが開く、すると浮かんでいる黒い袋は勝手に中に入っていく5個搬入が終わると扉が閉まり、向けられていた銃口は解除され隊員たちはバスの後部へ戻っていった、導人達は敬礼しつつ見送る。
「なんかすっかり慣れちゃった」
「うんそうだね・・・じゃあ帰ろうか」
今導人達は一つのマンションの5階を1フロア借りて生活をしている、本来軍学校の高等部は全員寮生活だったが、1年で入った早々から銃撃戦が複数回あり対応策として軍で小さめのマンションを買い上げた、同マンションの4階は秘密基地第二、3階以下は駐屯地となっている。
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