バウンダリ編 第2章 第16話 決心

「はぁ~、緊張したぁ」

 小田3尉がそう言うと、隣で飛田3尉が涙を流していた・・・

「何? 突然、ちょっとこんな所で泣かないでよ、周りには監視もいるのよ、ちょっとこっちにいらっしゃい」


 というと、小田3尉は自分が乗って来た迷彩色の小型トラックに飛田3尉を押し込む、お嬢さん仕様の女子には不釣り合いだが、なにも言うまい。


 小田3尉は、運転席に乗り込むとエンジンをかけ窓を開けつつエアコンをかける、熱気のこもっていた車内の空気が排出され少しマシになった、相変わらずべそべそと泣いている飛田3尉に、

「それで、突然こんな行動をしてどうしたのよ、つい焦って便乗しちゃったじゃない」


 それでも沈黙を守る飛田3尉・・・

 それを見た小田3尉は、

「ちょっと待ってなさい」

 と外へ出ていく・・・しばらくして帰ってくると冷たい麦茶のペットボトルを抱えていた。

「ほらこれでも飲んで落ち着きなさい」


「・・・」

 ペットボトルを押し付けると、やっと飛田3尉は受け取った。


 しばらくすると、ぽつりぽつりと語り始めた、謹慎中に一人ベッドで考えていると年齢=彼氏いない歴の自分は、自分だけが舞い上がり導人の気持ちも考えず空回りをしていたことに気が付き、とても落ち込んだこと、逆の立場なら怖かっただろうと思い至ったこと・・・そして、ぐるぐると思案している中でこんな自分は死んだほうがいいとも思いながら、未練と希望的観測があり・・・子供を抱えて楽しそうな自分とそばで笑っている導人という夢を見たこと・・・今日行って追い返されたら隊もやめ・・・どこかに行って暮らそうと考えたこと・・・


 それを黙って聞いていた小田3尉だったが、

「そう、それなら、隊をやめてどこかに籠もれば・・・子供を抱いて笑っているのは私よ、今日ちゃんとご挨拶もしたし、今から育て上げれば・・・ふっふっふ・・・葵の上作戦を始動よ、あと5年このまま周りから落としていけば私も30になるまでには何とかなるはず・・・くっくっく」


 それを、横で聞いていた飛田3尉は、唖然としながらも、だめだへこたれている場合じゃない・・・導人くんをこいつから守らなければ、とんでもないことになってしまうと心に決めた。


「ああ、まあ聞いてくれてありがとうと言っておくわ、それじゃあ、かわいい自分の車で帰るわ」

 というと、飛田3尉は小型トラックから降りて自分の車に向かって行った。


 それを見送った小田3尉は、手間のかかるね、つい言ったけど、今15歳か・・・ほんとに好みの方向に育てようかしら? でも今でも敵が多いのにそうなったらもっと増えそうね・・・車もワンピースに会いそうなかわいいのを買おうかしら?


 この車だと、ちょっとデートには向かないわよね。

 セレクターを入れ替え発進する。



 その晩、赤飯を食べながら、問い詰められていた。

「で、導人はどっちのお姉さんが好みなんだ? ほれ、言ってみ」

「父さんうっとしい、まだそんなこと考えたこともないよ、自分が中学生の時からそんなに恋愛とか興味があったの?」

「そりゃー・・・あれ? 中学校の時ってそんなでもなかったな、いつからだろう?」


「女の子なんかは、中学生くらいから興味が出るんだけどね・・・男の子は高校生くらいからじゃないの?」

「人によるよな、早い奴は中学生のころからガンガンに興味持っている奴もいたし」

「まあ、導人はお世話してくれる人ができたようだし、自分のしなきゃいけないことを優先だな」

「しなきゃいけないことって?」

「養うためにそこそこの仕事・・・ああそうかもう決まっているんだったな」

「うん、なんか給料入っていた」

「無駄遣いせずにおいておかないと・・・あっ・・・税金とか保険とかってどうなるんだ?」

「扶養って年間の合計所得金額が103万円以下位じゃなかったか?」

「なんだか、非常勤だけど特別だからって保険証もらったよ」

「じゃあ、確実に扶養の額を超えそうだな、明日仕事に行ったら手続きしないとやばいよ、扶養からの移動手続きしないと後から一括請求される」


「導人も軍の方に一応聞いておけよ」

「はーい」

「おにいお金持ちなら、かわいい妹に何かプレゼント」

「なんで?」


「就職祝い?」

「それは、逆にくれないとおかしいだろう?」

「えっ・・・そうなの?」

 ・・・


「普通はそうだね」

「じゃあ、聞かなかったことに」


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