バウンダリ編 第2章 第09話 革新
会議から1週間かけて、ほぼ全員が探査魔法と魔素の視認を覚えることができた、幾人かはやはり部屋の外の魔素を物質化して大騒ぎを起こしたようだが、それについては魔素のコントロールを重点的に練習することと、導人から山本に伝えられていたのですぐに騒ぎは収まった。
改善しないのは複数命令と透過力で、重要なのはイメージですと伝えられていたが、いくつものことを同時に考えすべてをコントロールするのは難しいようだ、苦肉の策としてドラムを叩いてみたりさせたがドラム自体が難しく一朝一夕での習得は不可能であった。
最初はギターからですかねと、まじめに意見が出された。
ほかにも、右手と左手で別の文字を書くとか試行錯誤がなされたが、結局右手と左手で別の魔法を制御するという基本に落ち着いたようだ。
幾人かはバンドを組んだようだが・・・
落ち着きを取り戻した各隊は、再びダンジョンへと侵攻を始めた、幸いな事に50階のトラップは一度だけの特別版であったようで、順調に探査を進めて行った。
途中幾度か他のダンジョンでの反乱があり1小隊が派遣されることがあり、本格的にダンジョンそのもの物の脅威度が上がっていることを山本は感じていた。
このようなタイミングで、導人による魔法の発見と方法の拡散が、ひょっとすると大いなる神の意志ではないかと山本は考えた。
山本にとっては残念だが・・・無論そんなものはない・・・もう一度言っておこう、そんな意志も意思もない。
その証拠?に本人が否定しているため他称神は、その頃日本の総理をからかって遊んでいた、いや、他人の持ち物の山を勝手に改造し基地を作ってしかられていた・・・偉大なるとか尊い存在とは程遠い、人を驚かせる事に一生懸命な存在が居ることは当然山本は知らない。
山本は、次の一手として魔法を軍の中で一気に広げた、当然習得には苦痛が伴うことも明記し、特殊能力保持者として一生国の管理に置かれることを明記した承諾書を交わした上で習得させた、また魔法使いの管理法案を政府に依頼、法案は一気に可決されたが、官報公示のみで大々的なアナウンスはされなかった、また魔法の習得方法については極秘情報として徹底的に秘匿されることとなった。
また山本は研究所で魔素を利用した装置の開発に着手もしたが、これは今のところうまくはいかなかった、基本的な魔素を認識できないためそこから始める必要があった、魔法を広げた物の責任とダンジョン攻略の一手目として魔法の発動を阻害する装置が必須であるとの考えによる、魔道具の開発一歩目となる。
将来的にはインフラや各種装置に魔道具が使用され利用されて行くようになる、その内容はどれもが画期的で世の中は魔法具によるイノベーションを受け真の産業革命を享受することとなる。
その内容は、奇しくも遠く離れた地球で新藤の開発していくゲートやシールドを含んだものであり、水を直接魔素から作成する水筒や貯水タンクと携帯型や屋内用コンロはこの世界での必須アイテムとして販売された、その他の生活用家電も時を置かずクリーンな魔道式となった。
当然、魔素から各物質に変換させる基本部分の開発には導人が絡んでおり、国と権利を2分して50:50で契約することとなる。
これの開発は、実は導人が魔物からとれる結晶にお願いするだけでできたという訳の分からない現象で、本人ですら原理はよくわかっていない。
できた後、方法を伝えると各隊長たちも作れたのでまあいいかとなった、開発経緯と結果はとんでもなくいい加減なものではあったが、それによる恩恵は大きく導人たちの住んでる国オルタスは、数年で世界1位のGDP(国内総生産)を誇ることとなった。
他国でも作ろうとしたがコア部分の解析を行っても、結晶の魔素変換の解析ができず断念することとなったが、コアを単なる結晶とすり替え不良品だとクレームをつけてきた国があったため、急遽結晶産地証明魔道具が作成された、これはダンジョンの内部に発生するモンスターは大抵その国での伝承に由来する物が現れる、これは昔からダンジョン作成者の意思と呼ばれているもので、謎として一般的である、一説によるとダンジョンで出てくるモンスターが、伝承になるため順序が逆だという説もある。
とにかく、発生するモンスターの結晶は見た目は似ているが微妙に結晶構造に癖があり光を波長ごとに分光し計測する分光器で簡単に見分けることができた。
クレーム国はすり替えた結晶の差分を自国の機器に組み込み海外に輸出するつもりであったようだ、そのため新型商品は簡単に魔素変換ユニットの取り外しができなくなり、取り外すことができても対応特性の結晶以外を組み込むと警告音が発生し魔素変換ユニットが自壊する機構が組み込まれた。
ダンジョンの結晶が有望な商品となり一番喜んだのは探索者達であった、モンスターの反乱を抑えるための間引きが主とした業務で、倒したモンスター数のカウント用として拾っていた結晶の用途が決まり高価な資源となった為、探索者協会が一括で購入と販売を始めた、これのおかげでモンスター一頭の盗伐価格が上昇し、収入が増えると装備も強化され、装備を販売している探索者協会の売り上げになる、経済の循環ができ両者WIN-WINのいい形が出来上がった。
ただしこれはもう少し後の話、山本が研究所で魔素を利用した装置の開発を始めたが研究者10人でチームを作って研究していたがうまくいかず、夏休みに入った導人に宿題としたが、5分後に返事が返ってきて山本が驚嘆したのは今から一月後のことだった・・・
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