バウンダリ編 第2章 第08話 驚倒
その日のうちに無線により救出が山本のもとに届けられた。
「よし、予想外だが被害者ゼロは大きい、それにしても彼に頼んでわずか3日で片が付くとは思わなかった」
予想以上に彼と隊員の差が大きいのか・・・戻ってきたら、詳細を聞いてみよう。
上がってきた報告は驚くべきことばかりであった、まずダンジョンに転移?空間を利用した罠があった事、それは当たりを引けなければひたすら消耗を強いられるとても危険な罠でありそれを導人が見ぬいたこと。
アルファとブラボー小隊が3日かけて有効な攻撃ができず、じり貧だったモンスターを相手に導人が数分で決着をつけたこと。
モンスターが魔法を使い、逆に魔法を弾かれてアルファとブラボー小隊は有効な攻撃をできなかった、それはこの先の攻略においてとても危険であると考えられるが、導人が攻撃したときには、そんなことは些細な問題であるかのように魔法が通ったことを考えれば、その技を指導さえしてもらえることができれば解決できる。
何とか、導人に教えを請えば問題の解決ができるのは朗報だが、すべては導人に頼ることになる、問題は彼がまだ中学生という事だ・・・
しかし、今回の作戦を鑑みると殊勲はすべて彼の残した結果というのも考えると・・・どうにかしなければ・・・
うんっ、飛田3尉が危険?・・・何だこれは? 導人に必要以上にスキンシップを取ろうとしているため要注意?・・・小田3尉の報告か・・・一体中学生相手に何をやっているんだ・・・
一旦作戦を中止して3日後、5名の隊長と導人を交え今回の報告会が開かれた。
「皆ご苦労だった、一人も掛けることなく50階までの攻略だ胸を張っていい、ただ少し危ないところだったのは否めないがな」
「申し訳ありません」
「いや責めているわけではない、予測できないことが起きたのを含め今後に生かしてくれればいい」
「承知しました」
「さて、今回の大きな問題はトラップだな・・・報告を」
「はい、報告します。50階までは問題なく攻略は進み問題となった扉をエコー小隊が超えた瞬間別の回廊に転送されたのが事の始まりで、結果から考えられることは転送先から全員が移動をしないと再度扉が開かれなかったと考えられます」
「・・・また、深見3尉の考察によると、連続したように見える回廊の途中に空間を接続した転移するトラップがあり、そこでランダムに抽選が行われていたようです」
「また、その回廊自体が2系統あったことも深見3尉の考察と、仮称としてボス部屋と呼びます、その部屋に2つの扉があったことから考察は適正だと考えられます」
「すると、1つの隊が突入し、扉が開いたと言ってもう一隊が突入した場合、ボス部屋で合流しない限り出会うことはなく、探査しても見つかることは絶対ないと言う事か、探査を主とした場合、致命的な時間を取られることになるな、そうすると先行した隊のみでモンスターと戦うこととなる・・・分かってしまえばなんということはないが・・・悪意が感じられる、いや、戦略的には優れているとしか言いようがないか・・・」
「すみません、発言よろしいでしょうか?」
「ああ、深見くん、なんだね?」
「まず最初に、探査魔法と魔素の視認を全員に覚えさせてもらえませんか、あっいやいただけませんでしょうか?」
「ああ、言葉遣いは気にしなくていい、その2つは重要なのかね?」
「はい、探査魔法ができれば空間の状態を把握できますし、魔素は流れが決まっているんです」
「魔素の流れが決まっている? それは?」
「たぶんですが、宇宙の決まりみたいなのがあって、必ず一方から流れてきているようなんです、当然生活をしていると自転や公転の為絶えず流れは方向が変わっていますけど、短時間であれば方向の判断がつきます、今回もそれのおかげでトラップの突破が楽になりました」
「それは重要な情報だ、助かる」
「それにダンジョンていうのは元々、各階層で今回のような空間接続がされているようで各階で魔素の方向が変わるので連続ではないことも見つけました」
「それはすごい」
「ですので、今後今回のようなトラップの危険性は考えて行かないと、いけないと思います」
ざわざわと、皆が騒ぎ始めた。
「どうした?」
「あのーお、どこか場所を考えないと、ちょっと間違えると水浸しになったり火だるまになったりするので少し危険があります」
「そういえば、小田3尉は水浸しにした事があったな」
「狭い空間なら大丈夫じゃないか?」
「すいません、魔素って見えている空間は関係ありません、魔法自体は壁とかで遮れる可能性はありますけど」
「じゃあ、やはり狭いところで良いじゃないか、各自の自己責任でやってもらおう」
「探査は、どこでも練習ができるし問題はなさそうだな」
導人は、狭くてもほかの場所にまで巻き添えにする可能性があるんだけどな、と考えたが口にすることはなかった・・・
「・・・ああそうだ、飛田3尉」
「はい何でしょうか?」
「深見くんは、背も高いし立派だが、まだ中学3年生だスキンシップはほどほどにするように」
「・・・はい」
飛田3尉は、キッと小田3尉を見ながら、小声でチクったわねとぼやいていた・・・
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