バウンダリ編 第2章 第03話 探索

 山本大佐に呼び出され、導人は平日の退屈な授業がさぼれたことで喜んで招集に応じたことに少し後悔をしていた。


 90人以上が行方不明、そしてあの時は双方がマスクをしていたため面識があるとも言い難いが・・・会ったことのある3人、それを50階で探査する。

 導人は、話を聞き思わず

「なんですと?」

 と聞き返してしまった。


「すみません、僕は単なる中学生なんですけど・・・」

「いやそれは、こちらも理解しているのだが・・・その上でだ、ほかに頼れる所がないのだよ、昇給もさせるから・・・こずかいが増えるぞ」

「それは・・・魅力的提案ですが、一人で行くんですか?」

「さすがにそんなことはしない、残りの隊長2人と行ってもらう」

「二人とも女性で・・・君にとっては少し年上だが・・・まあ改めて紹介しよう」


「入れ」

「小田 水希 3尉と飛田 ほむら 3尉だ」

「深見 導人 非常勤の特別技能職員 特別士長相等です、よろしくお願いします」

 双方ともに頭を下げる。

 うわーかわいい、高校生かな?

 おお2人ともかっこいい、おねえさんだ


「山本大佐、失礼ですが彼がとっておきの戦力と仰っていた方でしょうか?」

「そうだ、一度彼と君たちはここの地下で会っている、まあ双方ともに防護服を着ていたため覚えはないだろうが、君たちの魔法の先生というか師匠というところだな」

「「あのときの・・・」」

「で今回の作戦中では、階級は考えないこととしてくれ、基本君たちは共同作戦として同一の立場として作戦を実行してくれ、彼はまだ中学生のため特別士長相等だが力は強力だ、作戦中は君たちと同じ3尉とする」

「「中学生ですか・・・」」


「時間がないので、さっそく準備に入ってもらおう」

「「「承知しました」」」


「うわー、中学生だって、捕まっちゃう所だったわ」

「飛田 3尉何をする気だったのかしら?」

「えっ、いえ別に・・・かわいい感じだなーと思って・・・」

「確かにね、中学生にしては背も高いし、ちょっと線が細い感じだけど学生っていう感じの初々しさが良いよね」

「小田 3尉手を出したら捕まるわよ」

「わかっているわよ」


 装備を整えダンジョン前に集合し、山本大佐から作戦実行時の注意点を聞き作戦開始となった。

「じゃあ、行きましょうか」

 小田 3尉がそう言うと

「身体強化は使えますか?」

 と導人が二人に聞く

「「使えるわ」」

「分かりました、じゃあ行きましょう」

 と先頭を切って導人が突入していく


 導人は2人の様子を見ながらスピードを上げていく、途中で索敵とモンスター退治も行い途中で補給部隊も何度か追い越した、やがて2人が遅れ始めたので休憩を入れる。

「18階までノンストップってすごいわね」

「ああすいません、付いてきているようなので大丈夫なのかなっと勝手に判断して」

「ああ、うん大丈夫よ」


「ここまでで50km位よね」

「それも世界記録ペースだわ」

「途中でモンスターが居なかったのはラッキーかな」

「いえ倒しながら進んできました」

「「へっ?」」

「索敵に引っかかったのは倒しました」

「へっ、結晶は拾ったの?」

「拾っていません、拾うんですか?」

「倒したら拾ってね、軍の収入だから」

「了解です」


 再度移動を始めたが、モンスターを倒すのは良いが、結晶を拾ってのストップアンドゴーが地味に疲れる・・・何かいい方法はないかな?

 結晶のパターンは分かったから索敵でマークはできるけど、引き寄せるのは難しいな・・・

 物理で行こうか、モンスターを倒すと結晶は大体胸の辺りに現れるようだから、10mくらい手前で攻撃、まだ結晶が出てこない、うーん20mかな・・・おっ丁度いい位かな多少速度の調整は必要だけど・・・

 

 あれ?2人が居ない・・・いつからだろう?

 索敵の範囲を拡大していく、ああそうか、階層を超えての索敵はできないのか・・・

 やばい、探しに戻ろう、元来た道を戻り始めた。


 移動を再開して最初のうちは、止まって結晶を拾っているようで少し離れて追いついてを繰り返していた、それにしても結構な量のモンスターを倒している・・・

 少しすると、モンスターが居るのを目視できる距離で倒し始めた・・・

 ほんとに倒していたんだ・・・行き過ぎて拾いに戻ることを数回繰り返していたけれどそのうち、倒してそこを通り過ぎるだけになって来たと思ったら、グンとスピードが上がって来た・・・追いつけない・・・

 小田 3尉も徐々に離れてきた、なんて言うことなのモンスターを倒しながらであのスピードもうだめだ見えなくなった・・・


 結局、3階層程度戻ったときに2人の反応が索敵に現れた、スピードを落とし近づく。

「すみません、2人が居なくなったのを気が付きませんでした」

「はぁはぁ・・・良いの・・・いや良くはないけれど、こっちこそ足を引っ張っちゃってごめんね」

「少し休憩しましょう」

「はぁはぁ・・・、ありがとう」

 気が付けば、すでに36階に来ていたらしい。

 じゃあ、さっき39階だったのか・・・

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