バウンダリ編 第2章 第02話 再編

 特務M隊の再編として、今の隊員5人を隊長として各隊30人程度の小隊レベルで構成する。

 現在の一般的な兵武装では10階を超えて補給ができないのは、幸か不幸か先日の作戦で証明された、ほかの研究とは違い魔素への身体対応は金がかからない、これはこれから計画を進めるにおいて非常に大きなアドバンテージとなる、実質人間と時間があれば良い。隊員自体が兵器になるという潜在的リスクはあるが、GPSチップでも埋めてしまえば良いだろう。


 なじむまで多く見ても3日それから特性把握訓練をして1週間、余裕を見ても2週間あれば十分だろう。

 今度は、陸曹の連中を特殊技能者と言うことで准尉くらいにすることで集めればいいだろう・・・いや、予算が厳しいか人事から苦情が・・・まあ、将来的にと、結果を出せばと通知しようか・・・



 いろいろな心配事を何とか後回しにして、とりあえず候補者を集め、魔素を取り込み感覚がつかめた者からなじませる作業へ入る、ただし今回は人数が多いため1室4人部屋となっている。各部屋で後はなじませるだけだったが、リポートに書かれなかったあることのために大変なこととなる、特に2段ベットの下の人間は身動きができない状況で、上のベットからしみだし落下してくる物に耐え続ける事になる・・・


 あれは辛かったとの苦情と、上のベットの隊員も申し訳なさそうだったが、軍人たるもの何事も経験だと言われ話は終了した。


 各人特性を踏まえ同一の特性が偏らないように各隊に割り振られ、特務M隊は特殊攻撃M師団として再編され正式に主目的をダンジョン攻略部隊とされ発足した。


 隊発足からひと月後、本格的攻略を開始。

 その力は強力で、あっという間に25階を攻略しさらに進んでいく、全員が魔法を使えるのがこんなにも有効だとは考えられなかった、物資にしても水が一切必要がなくなったため非常に軽くなり、考えられないようなスピードで攻略が進んでいった。


 それは、50階までは通じた・・・

 

 今までに比べて大きな扉がそびえており、中の確認のためエコー小隊が突入し数秒後ドアが閉まってしまった・・・

 それから、どうやっても扉は開くことがなかったが、おおよそ3日後突然扉が開いた、アルファとベータの2小隊が突入、エコー小隊を救出に向かった・・・扉に岩や金属バーで閉まらないように対処していたのにも関わらず当然扉は再び締まりそれからは、1週間たっても開くことがなかった、間に挟んだ岩や金属バーは扉が閉まるために通る円周に沿ってスパッと切られていた、ドアの解放時に無線タイプのカメラを飛ばしたが扉を超えた瞬間自動着陸したため空間自体も連続していないのかもしれない。

 突入した小隊が持っている物資は、切り詰めていても10日持てばいいほうだ。


 山本大佐には、エコー小隊が突入し扉が開かなくなった時に報告が来て、救援を命令、しかしアルファとベータの2小隊が突入し、また扉が閉まってしまったと報告が来た時には即時命令を出すことができなかった。

 次に扉が開いた時には、有線タイプのリモコンカメラを先行させて、中に入ってはいけない旨の通告が出された。


 ダンジョンは各階通常2~3kmの長さで、扉の向こうにはこれまでなら広めのフロアと下に降りる階段があるはずだが、今回は有線のカメラを駆使し各種周波数の光とレーダー波によりスキャンが掛けられたが、永遠ともいえる洞窟が続き、各小隊の痕跡は見つけることができなかった。


 残った小隊の隊長、小田3尉と飛田3尉は、隊を扉の前で待機状態として待たせ、2人は全速力で駆け出し地上にわずか12時間で戻り、山本大佐に面会をした。


 無線で状態の報告は聞いていたが、無人カメラのみでは痕跡が見つけられないことと、扉ですっぱりと切られた岩から、人間が入ると別空間に接続している可能性があると考えた。

「誰かが入る必要があるという事か・・・」

「・・・あの3人が居て戻ってこれず、90名以上の魔法使いが消滅か・・・」

「いえ言葉ですが山本大佐・・・全滅とはまだ確定ではありません、今は・・・まだ行方不明です」

「確認ができてない以上そうはいえるが、人が入れば閉じられる扉が開いたのだろう?」


「・・・それはそうです・・・ですが・・・」

「いや、まあ言いたいことは分かる、重要なのは・・・しかしそれをだれが行うかということだ」


「人道的に、問題になりそうだが仕方がない」

 携帯端末からメールを打つ大佐だった・・・

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