第2章 発展
バウンダリ編 第2章 第01話 伝承
古来からダンジョンは存在し、時々発生する氾濫に対しあふれてくる鬼を倒すため武器が強化されて来た、武器の強化はこの世界に生きる人々の歴史ともいえる。
罠や投石から始まり、弓、刀等刃物類・・・火薬の発明による銃の登場。
それから現代まで銃やミサイルの時代が続いている。
そしてここから、魔法という攻撃手段が加わって、新たな時代へと進もうとしている、振り返ってみると歴史の伝承の中には確かに魔法使いや陰陽師などの話があるが、現在においてその力や力の継承が方法として確認される物は存在していない。
深見君のように能力を得たが本人が亡くなるか、組織はできたが力を継承ができず形のみ伝承されたことも考えられる。
組織としてどうあっても方法を確立しなければいけない、ただし手がかりは在る、魔素を取り込み体をなじませるこの一点で間違いはないだろう。
問題は、その方法または手順の確定が必要だが、特務M隊の隊員でも魔素を魔素のままで操作することはできない様だ、それさえできれば・・・
陸軍研究所所長として、山本は思考の海に没していく・・・
「ねえねえお兄、魔素ってこの流れている霧のこと?」
「そうだよ、見えるようになったのか?」
「うん、たぶん」
「どうやって、見えだしたんだ?」
「魔素ってどういう物なんだろうって? 思ったら見えだした?」
「・・・そういえば、自分の時もテレビで言っていた物理的D因子て何だろうと、考えた時だったような気がする・・・」
「その霧の流れを変えれるか?」
「うんできるよ」
「やっぱり、意識とイメージか・・・すべてはそこになるんだよなぁ・・・どうやってそれを説明するか・・・難しいなぁ」
「そんな物、CGか何かで作って、ぶわーって流れているのを一度見せれば、後はどわーって移動させるだけじゃないの?」
「ああ~うんそうだね・・・」
山本所長に向けてメールを送ることにした、〈1.魔素とはどういう物かを考えさせること、2.周辺に霧が大量に流れている映像は作れないでしょうか? 作れるならそれを見せイメージさせること、うまくいけば1番目だけで見れるようになる可能性がある〉と書いてメールを送る。
すぐに〈試してみる〉と返事が来た。
朝から招集がかかり、すっかり我が特務M隊占有となっている、陸軍研究所B5階の会議室に集まりミーティングを受けている、だが質問は「魔素とはどういうものかを考え意識する事」と言われ、メンバーはとりあえず各自の考えを発表しそれに対して意見を言うグループディスカッション風の議論を行ってみた。
ただ、全員が〈魔法習得に関する身体開発リポート〉を読んでいるため、知識として周辺に存在する霧状の物と理解している、そこで行き詰ったが、誰かがぽそっと言った「本当なんでしょうか?」と言う問いに、また誰かが「じゃあ、ど・・・」まで言ったとき、小田3尉が「あっこれ!」と目を見開き叫んだ。
「「「「どうした」」」」
「周りをすごい勢いで霧が流れている」
「見えるのか?」
「はい、たぶんこれが魔素の流れです」
「魔素が、ほんとはどういうものだろう?と思った瞬間に見えました」
「今日の、タイトル通りじゃないか?」
「で、魔素のコントロールはできるのか?」
「ちょっと待ってください・・・できます・・・あっ」
その瞬間、魔素が水滴となり全員がびしょぬれになる・・・
「申し訳ありません」
「小田3尉は水が得意だから・・・」
「ちょっとシャワーでも浴びてから片付けよう、休憩しよう」
その時「あっ、見えた」飛田3尉が叫ぶ。
「先ほどの、水魔法がいいヒントになりました」
「操作・・・いや飛田3尉だと失敗して火になるとシャレにならない、見えるのは確かなんだな?」
「はい、今も見えています」
「とりあえず休憩しよう」
1時間ほど休憩し、その後小田3尉と飛田3尉の監修のもと、加湿器と扇風機で状態を再現吹き出す霧を通して部屋を見る単純なものであったが、有効であったらしく見ることができるようになった。
その報告を聞いた、山本は一気に増員をするべく動き始める。
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