バウンダリ編 第34話 始動
田上3尉のけがも驚異的速度で治り問題なさそうで、部隊には篠田2尉が作成した装備が決まった、十分な性能テストを行った結果、篠田2尉が作成した装備の方が従来品の3割ほどの重量で強度は3~4倍程度の強度と柔軟性があった、強度の差は使用する部位による柔軟性が必要か強度が必要であるかの使い分けによる。
今回は本格的な扉の向こうへの侵攻計画として、他の部隊とも合同であり一個中隊規模の編成となっている。
特務M隊は扉の前までは他の小隊編成に紛れ込んでいるが、装備の違いがあるため非常に目立っている。
「なるべく秘匿なんて無理があるよな」
田村2尉が愚痴を言っている、
「まあな、銃は装備しているがかなり軽装だしプロテクター類も透明だから軍じゃなく警備隊に見える、すまないな」
「いや性能は見させてもらった、十分だ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
篠田2尉は、隊の役に立てることに安堵する。
山本大佐が現れ、
「それでは、これから作戦を開始する、本作戦は扉の向こうへの進行だ、これまで幾度となく繰り返された作戦だが、そこにいる特務M隊の装備と力を持ってこれまでにない成果を期待している、ただし人的被害の無いよう撤退判断も速やかに行うように、今回の主目的は、あくまでも扉の向こうの状況確認並びに装備の性能確認の側面があり、持ち帰る情報が必要だ、無理の無いよう作戦を行う事、以上だ」
「ひでえ、秘匿じゃなかったのかよ・・・」
篠田2尉は、隣から漏れ聞こえてきた言葉に苦笑する。
「計画が変わったのだろう、予算関係かな?」
「ああ、そうかもな」
各隊が集まりミーティングしその後、各小隊事に突入を開始した。
すまんな、各地でのダンジョンの氾濫が急に増えて、その対応のために人員を増やしたい、今回特務M隊は広告になってもらう。
山本大佐は次々と突入していく隊員を見つめていた・・・
部隊の進行は順調で一班4〜6人で編成しモンスターを各個対応殲滅していく、前回の情報から扉の手前100m以上離れて陣地を作り休憩と物資をまとめる、ここには一分隊を残し扉の向こうへ侵攻する。
12時間以上時間が経過したが鬼は現れず、特務M隊のメンバーは安堵と落胆をした、この前はたまたまだったのか・・・
準備が整い侵攻を開始する、どうしても一番が良いという小隊が突っ込んでいく、隊長は同じ2尉で本作戦ではこちらが立場が上だが、向こうのキャリアが長いため許可した、あれは出会うと怖いのだがなと前回遭った鬼を思い出す・・・
扉から4~500mほど進んだところで通路の先に鬼を目視する、先槍を取った小隊の隊長は30歳近い、やっぱり現場にいないと昇格が遅いよなと考えながら、ハンドサインを出すライフルが火を噴く7.62mmがモンスターに突き刺さる、連続で発砲するが銃撃に気が付いた鬼がとてつもないスピードで近づいて来る、「撤退しろ!!」隊長の2尉が叫ぶ、退避しながら5.56mmの小銃を発射する。
やばいやばいやばい、扉の外と全然違うじゃないかぁ、5.56mmの小銃なんか豆鉄砲だ、やられる・・・脇をものすごい勢いで鬼の首が通り過ぎて行った・・・
「・・・はっ?」
目の前で鬼の首が消滅していく・・・
「はぁ?」
振り返ると倒れた本体も崩れて消えて行った。
「一体何が?」
後続の小隊が続々と追いついて来る、
「アルファ小隊、先行と言っても突出しすぎだ」
田村2尉、が注意をする。
「はい、いったい何が?」
「こちらが追いつき攻撃をした、以上だ、注意しつつ進めアルファが先行部隊だろう」
「了解」
憮然としながら、小隊の隊員の確認をする。
「注意しながら進め」
今度は、突出することなく進んでいく。
「やはり一当たりすると、落ち着くか」
「扉の前後で、別物だからな」
特務M隊のメンバーは多少余裕があった、前回の不意打ちでも怪我はしたが死にはしなかった事と一度倒している、攻撃が有効であることを知っている安心感は大きかった。
その後は各小隊が時間で入れ替わりながら順調に進み、10時間程度で20階に到達進行先に扉が現れたため100mほど手前に陣地を構築、今度は未知のエリアとなるため特務M隊が先行する、扉をくぐり中を窺うと、向こうも扉の外に気配を感じたのかひとつ目の5mほどの鬼がこちらへ来ていた距離はすでに10mほどとなっている、ハンドサインをかわす必要もなく飛田3尉が炎を圧縮した弾を連続で撃ち出し目くらましをして、それに合わせ田村2尉が不可視の空気の刃を撃ち出す、それだけで戦闘は終了した。
後続部隊にOKを出し進み始める、だがここで20階に一小隊ではなくもう一小隊置くべきであった、それほど通常武器は弱かった、順調に倒したのはすべて魔法だったことを皆気が付いていなかった。
順調に探査は進んでいたが途中で、物資補給に20階に戻った隊員が壊滅した陣地を発見する。
再発生したモンスターを残った一小隊では撃退できず壊滅していた、速やかに本隊に戻りそのことを報告、今回は25階で探査が終了した。
一小隊30人が犠牲となった、グレネードランチャー等の装備も在ったが使用されていなかった、そのことから陣地のすぐそばで再発生した可能性があると報告された。
報告をまとめた山本大佐は特務M隊増員のために動き始める、一般武装兵士と魔法使いの戦力差が今回の調査で如実に現れた。
前回も不意打ちを食らったがけが人一人を出したものの5人生還、今回は30人全員死亡だこの差は大きい、ただし増やすには彼の手が必要だ、これから先を考えると、何かで彼が死んでしまえば魔法使いはもう作れない・・・終わってしまう何とかしなければいけない。
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