バウンダリ編 第28話 特訓

 篠田は焦っていた、せっかく手に入れた力だが、色々と試すと植物に対してが一番有効で思い通りに植物をコントロールできる。

 確かに力と考えると奇跡のような物だと言える、しかし軍人として篠田が欲しかったのは攻撃力だ攻撃に関して人並み以上にこだわりを持ち、大学院にまで進み物質工学を学び軍備を強化するため研究をした、そのおかげもあり24歳で2尉となった。


 今ある条件で戦闘力を上げる、戦闘力とは考えれば攻撃力と防御力だ、攻撃力も必要だが先日の田上3尉の様に攻撃をくらって動けなくなるのは避けるべきことだ、何か・・・鎧?ガード・・・ああ、良いものがあるじゃないか、自分の能力と知識を利用し植物を分子レベルでいじる・・・究極のCNF(セルロースナノファイバー)を自作してやる、防御だけではなく攻撃にも使える。


 その日から篠田はいろいろな植物を育て、物質から加工ではなく植物にお願いをして装備を作成していた、その性能は凄まじく軍装備よりも軽く丈夫なものをわずか2週間の間に作成し、班に割り当てられているダンジョンに潜りテストを繰り返した、植物により作成された剣は鉄製よりも軽く切れ味も良かった。



 田上は焦っていた、扉の前まで行くのにはすべて順調だった、苦しみの果に手に入れた魔法という力、得意属性が土だったのは少し残念だが使い方によっては色々出来る。

 まだ、なれていないため形を決め構築するのは時間が掛かるがとっさの盾や剣も作り出せる、モンスターにどのくらい有効なのかは実践でためそう。

 そう思い挑んだダンジョンでの訓練、実に、土属性の攻撃は有効だった塊を飛ばしても有効だし、とっさに作り出した剣もよく切れた、なんだか物理的に切っているのではなく何かと干渉しながら破壊している感覚がある。


 色々なことを確かめながら10階の扉までは順調だった休憩し、帰還を始めた力の有効性と魔法を使いモンスターを倒すそのメンバーになれたこと、ヒーローになった自分の姿を想像し少し有頂天になっていた、班長田村2尉が気が付き「後ろにモンスター」との叫びを聞いた瞬間振り返り飛来物を視認する土の盾を構築したが時間が足りず薄く強度もなかった、直撃は避けられたので死ぬことは無かったがあれは危なかった。

 

 左肩周辺の骨折、戻ってきて手術を受け夜日課となっている魔力の循環の時患部に魔力を纏うと熱を持ち痛みが増したが、あのときのムズムズとした体の再構築される感覚がして、魔力を集めれば再構築されるのでは無いかと考え、痛みを堪えて魔力を患部に集めた。


 次の日の診断で、手術痕がなくなっているのを担当医が見つけ、慌ててレントゲンを撮影、粉砕骨折だったため大きな骨をとりあえず固定しある程度治ったところで再手術する予定だったが、レントゲンを見ると勝手に再構築が始まっているようだ、担当医はありえないと放心していたようだ、軍の秘密と説得しどこかに問い合わせしようとしていた医師を思いとどまらせる。

 医師は出身大学の教授に慌てて相談しようと考えたらしい、守秘義務も有るのにそんなことも吹っ飛ぶほどに驚いたようだ。


 田上は皆に迷惑かけたと思いながら、魔力のお陰で早く復帰できそうだと考え安静は言われていたが魔法の訓練は良いだろうと更に魔力による自己修復と錬成の速さと正確さを黙々と訓練した。


 田村もあまりにも順調に探査が進み、帰り道となって警戒心を緩めたためにモンスターの発見が遅れ田上3尉に怪我をさせてしまった。

 その事を後悔し探査とシールドの構築、魔法の並列起動をひたすら訓練していた。


 飛田3尉と小田3尉も火と水の為どうしても攻撃が主となるため、防御と索敵が必要と考え女性二人でチームを組み色々と試すことを繰り返していた。


 怪我をした田上3尉のリハビリを兼ねたダンジョン探査を2ヶ月後くらいだと考え、班員すべてが必死で自分の役割を考え特訓をしていた。



 2週間後の田上3尉の怪我が治ったとの報告を聞いて驚き、魔素の有効的活用法について情報をを共有し、また篠田の作成した装備を皆に渡し試してもらうことにした。

 けが人は出たが、ダンジョンでの油断の危険性を皆が共有し、努力することで新たな力を得ることができた、作られたばかりの特務M隊だがこれからの活躍を信じ貢献できることを全員が・・・妄想しにやけていた、性格はなかなか変わらないようだ。



 その頃、導人と開爺さんは、まわりをざわざわさせながら戦っていた。

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