バウンダリ編 第20話 報告
朝学校に行く途中、家から少し離れた所に駐車しているSP?さんの車の窓をノックする。
中のSP?さんは驚きながら窓を開けてくれた、
「深見さん、どうされましたか?」
「このファイルを、陸軍研究所の山本所長に届けたいのですが、ちょっと郵便とかは使いたくなくて、届けていただけませんでしょうか?」
「秘匿タイプですか? 秘匿レベルはどのくらいでしょうか?」
「秘匿レベル?・・・所長以外には見せたくないのですが・・・」
「承知しました」
鍵のかかるアタッシュケースを取り出し「お預かりいたします」と言うので封筒を渡す、代わりになにか記号の書かれた紙を渡される。
「このコードを相手先に伝えれば、無事渡ったかの確認が取ることができます、それでは任務に入ります」
と言って、車が発進する、すぐに近くに別の車が待機し始めるのを感知した。
昨日の夕方学校から帰ると、妹の凛が育っていた・・・
話を聞くと、霧を取り込みなじませるという作業を複数回繰り返していると、突然体中が痛みだし、僕の時と同じように朝方まで苦しんだようだ。
その所為か霧は見れないが、あるという感覚がわかるようになったとの事だ。
先程の封筒には、そのあたりの手順と自分の時と凛の身体的反応と変化、来週の修学旅行の日程と連絡先を同封し渡した、個人通信端末が欲しい所だが高価なため買ってもらうのは難しいかな・・・
フジ陸軍研究所の所長室、山本は届けられた封筒を開封し中を確認する、
「ほう、修学旅行か良いな、手放しで旅行を楽しめるのは学生の特権だ」
ふむ、最初に霧を強制的に入れてもらい存在を把握できればコントロールできると言うことか・・・その後ある程度馴染むと体が作り直されるということか。
これは素晴らしい、早速試したいが・・・出発は日曜日か・・・そうだな土曜日に幾人か隊員を変身させてもらおうかな、実務で・・・いや秘匿性とこれからの任務を考えると尉の連中で1チームを編成してみるか、早速連絡してみる・・・今の時間は学校か、修学旅行の一件もあるしスクランブル付きの通信用端末を一台持たそうか。
「軍備管理かね、陸軍研究所所長の山本だ、スクランブル付きの個人携帯端末の貸出手続きについて聴きたい・・・」
夕方学校から帰ってくると、山本所長から荷物が届いていた、箱を開けると手紙が1通入っており、土曜日の10時に迎えが来ることと任務依頼が入っていた、同じ箱の中に入っていた個人携帯端末は僕に貸与すると書いてあった。
民間用と違うため、取り扱いは注意と書かれていた、ほしいと思っていたがこんなにすぐ手に入るとは思っていなかった、ラッキー・・・だけどなくすと、個人で弁償とかしないといけないんだろうか?
作戦用だろうか? 見た目は一般の端末と同じようだが、骨伝導タイプヘッドセットやフォルダーが一緒に入っており、端末本体も完全防水でデジタルスクランブル機能付き? なんだか高そうだ気をつけて使おう。
土曜日、いつものように9時50分に迎えに来た車に乗り込み出発する。
研究所につくと山本所長が1階にまで降りてきており、そのまま地下5階に降りていく、エレベーターを降りるとやはり認証が必要なドアが有り認証してフロアに出る、先日来た2階と違い各ドアに認証端末はあるが、取っ手も室名のプレートもないドアが続いている。
少し歩いて一つのドアを開け中に入ると、中は更衣室になっており指示されるまま全身を覆う不織布の防護服を着てゴーグルまで着用する、隣の部屋に通じるドアを開けて中に入ると先程指示されたように、同じように全身を防護服とゴーグルをつけた5人に霧をいや、山本所長から魔法の素だから魔素と呼称をしようとなった、その魔素を体に30秒ほど浸透させる。
山本所長から、
「温かい何かを感じることが出来るかね?」
の質問に、5人が首を振る。
山本所長が手を挙げる。
また、魔素を体に30秒ほど浸透させる、を繰り返す。
5回、6回と行ううち、質問に手が上がり始め、10回ほどで全員の手が上がった。
「それじゃあ、周辺にある魔素を感じられるかね?」
全員が首を振る。
「周辺から、温かさの元を取り込むイメージをしてくれ」
2人のみ取り込みができている、導人は指を2本立てできている2人を指差す。
「できていないものはこちらへずれてくれ、できているものは各自で感覚を覚えるように、ではこちらのグループはもう一度だ」
導人は首を振り、もう一度こちら側から送り込む、30秒で停止すると、1人は状態を保っている、残りの2人に絞り多めに送り込んで見る・・・30秒で停止すると、残り2もできていた、山本所長にハンドサインのサムズアップをする。
「良しやめ!」
「各自その感覚を忘れないように適度に訓練を続けてくれ」
所長とともに、部屋を出る。
「なんとか全員出来るようになったようです、ただ今晩熱と痛みが出ると思います」
「ああ承知している、結構キツイのだろう」
「そうですね、あればかりは体験してみないと理解できないと思います」
「まあ、今回はこれで終了し経過観察しよう、深見くんは明日からの修学旅行を楽しんできてくれ、まあ今回の状態によっては質問をメールするかもしれない時間がある時に確認を取るようにしてくれ」
「あの端末メールも使えるのですか?」
「ああ使える、空間キーボードで目線だけで入力もできるし、言葉だけでも入力や送信もできる」
「わかりました、使い方を勉強します」
「詳細は、HELPに載っているが間違って緊急用HELPは押さないようにな、あれは任務中動くことができなくなった時に押すボタンだ、間違って押すと始末書の提出と罰則が来るだいたい減俸だな」
「き、気をつけます」
「じゃあ教はご苦労だった、帰ろう」
導人を見送った後、山本は地下に戻り5人に質問をする
「物質化は出来るようになったかね」
「はい、多少の大きさに差はありますが、皆出来るようになりました」
「空間の魔素、霧のようなものは見えるものは居るか?」
「いえ、目視はできません、ただし魔素が存在することを認識できるようになりました」
全員が首を縦に振る。
「他人に魔素を取り込ますような操作はできるかね?」
「いえ、まだそこまでコントロールができません、リポートにあった身体の変化後に期待したいと考えています、あれが身体の魔素による再構築であれば能力の上昇が期待できると推察します」
「うむ、身体状況の変化を細かくリポートしてくれ、うまくいけば君たちをダンジョン攻略特務グループとして編成する、ただ魔法自体が未知の物で魔素の取り込みが身体に起こす影響もまだはっきりとは分かっていない、事故の起こらないよう身体の機微に留意し魔素の馴染ませを行うように、以上だ解散」
「「「「「はっ、解散し各自待機に移行します」」」」」
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