バウンダリ編 第21話 出発

 エイド首都駅高速軌道ホーム、午前11時少し前出発ホームに来た、見回すと山本先生を見つける。

「おはようございます」

「おお、おはよう」

「ちょっと、良いですか?」

「おおなんだ?」

「昨日軍の方から作戦指示用に個人携帯端末を預かりまして、これを持ってないといけないらしいんです、緊急時に連絡が取れないと非常に困ったことになるらしくて、何か許可とか必要なんでしょうか?」


「おま、早く言えよ、ちょっと待て、校長に確認する」

「先生、おはようございます、ちょっと確認が必要なことがありまして・・・そうですその深見です、ええ軍から昨日・・・でも何かあって国民一人でも被害があれば責任問題に・・・首だけでは済まいことに・・・ええそうです、じゃあとりあえず特別に・・・はい、はい、はい、ではそういうことで、分かりました、では失礼します」


「おし、許可は貰った、見せびらかすなよ、それと軍務以外には使うな」

「はい、これ軍用でモニターされているようですし、ありがとうございました」

「もっとはや・・・ああ昨日貰ったんだったか?」

「そうです」

「しようがないか、はあ・・・まあ目立たんようにな」

「承知しました」

 びしっと敬礼する。


「ああまあ、頼むぞ・・・」


 その後、出発式を行いみんなが乗り込む、さすがに友也と達男も遅れなかったようだ。

 ゆるゆると発車する。


 その時、メールを着信する、こそっと確認すると昨日のメンバーが12時間を過ぎても苦しんでいる人がいるらしい、何時間くらいで落ち着いたかの問い合わせだ・・・えっと大体6~7時間くらいですと送信・・・承知したの返信。


 その後、1時間程度でみんな落ち着いたの連絡が来た、はあぁ、個人差かな?


 それから、1時間ちょっとでヤマシロの都中央駅に到着しぞろぞろとバスに乗り替え、観光地を巡る観光が始まった。


 なかなか見どころがあり、皆楽しそうだった。


 その日は無事に宿につき、一部の生徒が女子の部屋に乱入したのがばれロビーで正座させられたくらいで1日目が終了した。


 メールはあれから特になく早々に寝ることにした。



 6時過ぎにメールが入り、対象者みんなが魔素の感覚をつかみ物質化を行えるようになったの連絡とヤマト地方に怪しい微振動を検知した為氾濫に注意しろとメールが来た、ありがとうございますと返信したが、どうやって氾濫に備えろなのか悩んだ。


 地方は違うが、今日も古来の宗教施設の見学となる、バスに乗ろ込み出発する、中にあるテレビでニュースは流れているが氾濫情報は特に流れていないようだ、あれは軍独自の情報なのだろうか?


 ヤマト地方の大きな像のある宗教施設を見学しながらそこに繁殖している鹿とビスケットの奪い合いをしていると、地面が振動しているのに気が付いた、まさかなと思いながら友也と達男を見ると「なんか揺れてないか?」と言ってくる。

「変に振動しているよな?」

 と言いながら、周りを見回す。


 ここは確か近くにヤマタイのダンジョンがあったはず、市街地図を取り出し確認する、あれ?どっちだ?太陽があっちだからそっち? と目線を向ける。

 とくには何も起こってなさそう。



 振動は、ひどくなる・・・ その時ダンジョンの方から叫び声と氾濫だの声が聞こえた、すぐに氾濫がヤマタイのダンジョンで起こったことメールし返信を待つ・・・速やかに退避の返信が来た。


 どうしようか悩む、向こうで先生のバスに戻れの声が聞こえる。


 周りを見るとお土産屋さんの店先に、おもちゃの仮面がぶら下がっているのが見えた思わずつかみ購入すると、顔に被りダンジョンに向けて走り出した。

 まだ、ダンジョン外にあふれてはいないようだが様子を見に行く、ダンジョンの周辺に装備されたフルオートの口径7.62mmを使用するミニガンが発射されていた、その様子を見て安心する。


 やがて、氾濫も落ち着きを見せひときわ大きなモンスターが出てくる、たぶんこれが最後なんだろうと見学をしているが7.62mmを使用するミニガンでは威力が足りないようだ、こそっと光魔法で魔物の頭を打ちぬく、倒れるのを確認しバスの所に駆け出していく・・・


 顔につけたマスクを外しながら、バスがいない駐車場をみて愕然とする・・・


 ポケットに入っていた今日の宿の住所を確認し、ため息をつきながらとぼとぼと歩き始めた・・・


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