バウンダリ編 第14話 就任

 家に入ると、ダイニングのテーブルの上に自分宛ての書留が来ていた、部屋に上がり荷物をベッドに放り投げると封筒を開けてみる。


 中には幾つかの書類とパンフレットそして身分証明書が入っていた、まじまじと身分証明書を見ると先日撮った写真の横に所属 陸軍情報管理部と職名が特別技能職員[非常勤]と書かれていた、その下に名前が書かれ更にその下に上記のもの陸軍所属の職員であることを証明すると言葉が入り陸軍司令長官の印が押されていた。


 パンフレットは、一般的な陸軍志願者募集のパンフレットで主な任務や装備それと素敵な先輩と書かれ、幾つかの基地に所属する素敵な笑顔の先輩がちょっとしたコメントと共に載っていた。

 あとは、就任辞令書と命令書? 週末にフジにある陸軍研究所への出頭命令と朝09:00に迎えが来る事が書かれていた。


 出頭は良いけど上下関係とか挨拶とか怖いなどうしたら良いんだろう? と考えながら最後に残った1枚?いや2枚あった、人事採用通知書と辞令だった採用通知書はそのまま採用しますの文書で、辞令を見ると就任辞令書と同じく所属はフジにある陸軍研究所になっていて 職名が特別技能職員[非常勤] 階級は特別士長相等 となっていた、採用文書と所属の通知と身分の通知書がそれぞれ違うのか・・・ああそうか普通は移動だけとかだけど一番最初だから・・・なるほど。


 階級は特別士長相等と書かれても、階級がわからない、あとで調べよう。


 改めて身分証明書を見る・・・こんなのを見ると本当に軍人になったんだな、まだ中学3年なのに、まあ今の状態を考えるとしようがないのか。


 今更だけど階級だけじゃなく軍務関係の組織とか覚えれるだけ覚えておかないとまずいよね、机に向かいネットの海を覗き込んだ。


 調べると、士長は軍人じゃなく見習いだった・・・そうだよネェ。


 晩御飯だと呼ばれ下に書類を抱えて降りていく、そういえば昼ごはん食べるのを忘れた・・・


 書類を見せながら士長が見習いの説明をするとそれはそうだろうと意外と盛り上がり、週末の服装は特に指定もされてないから制服で良いのじゃないかと言うことになった。

 パンフレットに載っていた素敵な先輩のコメントが、一人縦読みでトテモキツイになっていて家族で爆笑したあと、先輩の安否を心配した。

 


 部屋へ戻ると凛が机の上に置き放していた考察ノートを読んでいた、まあまだ大したことは書かれてはいないし良いかと「どうした、気になるのか?」と声をかける。


「お兄いが魔法を使えるなら、私も使えると思えない?」

 と聞かれたが、

「魔法を使いたいのか?」

「当然だよ」

「今回俺が魔法を使ったことで、皆に迷惑をかけているのは知っているだろう」

「それは、魔法がお兄が一人しか使えない物だからじゃないの? もっと一般的になればもっと周りの状態も変わると思えない?」

「ああっ、よくなるか悪くなるかは不明だけどな」


「だからまあ、特別なものじゃなく誰でも使えると言う証明のためにも練習したい、使えるようになりたい」

 んんっ? そういやこいつ昔から美少女魔法少女が好きだったよな・・・

「そうか・・・そこまで考えてくれて・・・魔法少女!」

 ビクッとなる凛

「どうした?」


「な・・・なんでも無い、突然どうしたの魔法少女って」

「いや、凛て確か好きだったよなと、ふと思い出して」

「そうだけど、今は関係ないじゃない」

「そうか? 魔法の話だし関係ないことはないと思うけどなぁ」


「・・・アニメと、現実は違うよ」

「そうだな、魔法を使っても可愛い格好には変身できないな」

「なっ、出来るかもしれないじゃん、まだ分かっていないだけで・・・」


「そうか、凛は魔法少女になりたかったのか」

 真っ赤になりながら、

「いいじゃん、教えてよ」

「わかった、でもまだそのノートに書いてある通りよく分かっていないんだ」

「その霧ってずっと流れているの?」

「そうだよ、今も流れている」


「・・・それじゃあ、霧にお願いをして見るから、お兄が霧の様子を見ていて、なにか変化があれば教えてくれる?」

「ああ良いよ」


・・・


「えーと凛、最初にどういう事をさせるか、決めといた方が良いような気がする」

「そうだな、ちょっとノート貸して・・・んん~・・・そうか最初に霧を発見して最初は体に吸い込むのを見つけ取り込んだ霧が体を巡る感覚がわかった」

「それからあと、いろんな命令ができた」

「まずは、霧を取り込み体内で感じる流れを理解するのを最初にしてみよう」


「手を広げて手のひらに周りから霧を集め吸い込むイメージを頭の中で考える、うまく行けば体が暖かくなり流れがわかる・・・多分」


「イメージは加湿器の逆再生かな?」


「こんな感じでどう? 霧はなにか動いた?」

「いや動かない」


「んー、まあ良い練習してみる、入ってきたら温かい感じがするのね」

「うんそう、分かると思う」


「部屋に帰って集中する」

「おい、魔法もいいけど来週は中間テストだぞ大丈夫なのか?」


「え・・・ええとまあなんとか?」

「なんで、疑問形なんだ、魔法に関しては、思いついたこととかこのノートに書くようにするから勉強しないと閲覧禁止にしよう、魔法少女になれなくなるぞ」


「ううぅ・・・いじわる、お父さんにお兄がいじめるって言いつけてやる」

「そんなもん説明したら一発で怒られるのは凛の方だろ」


「う~分かった、ノートにまとめといてよ」

 

「おやすみ~」

 魔法を誰もが使えれば・・・かあ、陸軍の研究所でテストできないかな・・・


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