バウンダリ編 第11話 流転

 生生流転というけれどこの1週間で一気に日常が変わってしまった、熱が出て背が伸び変な霧が見えて魔法が使えるようになって、国からの保護対象、それも危険人物・・・


 あの日もしかして死んで生まれ変わったのかもしれない、現世転生? うん、訳が分からない・・・


 すべての基となったこの霧、これはいったい何なのだろう?

 なんとなく自転によって方向が移動しているのは分かった、宇宙の中で一定方向の流れを持っていて、それがダンジョンでは下から吹き上がって来ていた・・・入り口ではどうなっていたっけ?


 周りのみんなにこれが見えていないと言うのが現状の大問題で、見えればもう少し取り扱いも変える事ができると思うけど・・・

 自分自身でもよくわかっていないのがそもそも問題か・・・

 やっぱりこの霧について理解するのが一番の早道のような気がする。


 机に向かい分かっていることを書き出していく、宇宙に霧のように見える魔法の元が流れている。

 これに、属性? を指定すると変化が起こる。

 変化には、自分のイメージが重要で特性が変わる、いや特性も変わるだな。

 変化したものは、元の霧には戻らない。


 あれ、ダンジョンの時に周りの霧も集めて撃ち出した時って、どうやって命令を出したっけ?

 必死で、球数が足りないから周りに意識を広げて・・・頭の中で確かに俯瞰する様な感じで・・・うん、イメージをしていた。


 変化を与えるには明確にイメージを作りそれをしようと意識する・・・これだけでいいのか?

 それなら今まで、世の中で事例というか、出来事として起こっていないんだ?


 誰かが、何かの時に願ってもおかしくはない・・・


 例えば砂漠で死にかかって、水を欲しがる・・・それも渇望というレベルで・・・

 いや、昔話でお坊さんが杖で地面を突いたら水が出たとかの話や、神の奇跡としての話はある、考えれば魔法という言葉自体が存在している理由は・・・悪い魔法使い神または神の使い・・・魑魅魍魎や陰陽師・・・昔から使える人は確かに存在したのかもしれない。

 今日の話にもあったように、あがめられ神になった以外は大部分が恐れられたか迫害されたか居なかったことにされた・・・ということかもしれない。


 力が使えるようになって嬉しくってただ舞い上がっていたけれど、これからの事をしっかり考える必要があるな・・・

 

 明日は休みだけれど月曜日が怖いな・・・

 

 ベッドに転がりながら明日家族でもう少し話をしよう・・・そう考えながら意識を手放した・・・なんだか疲れた・・・


 朝目が覚めると9時過ぎだった、着替えて下に降りていく・・・

 父さんとと母さんがすでにいてなんだか話をしているようだ、「おはよう」と声をかけるといつもと変わらず「「おはよう」」と返って来た。


 早速昨日の考えを話し始める、特に迫害されたの考えと、家族に対する危険について僕の考えを伝えた。


 父さんが、

「国の人もそれを考えて早急に手を回してくれたんだろう、もし話が広がればどこかに保護してくれるさ、その場合導人に養ってもらうことになるがな、はっはっは」

「すでに就職先も決まった事だし、よろしく頼むぞ、めざせ救世主だ」


「・・・」


「そんなに簡単なことかな? 」

「考えてもしようがないだろう、すでに力が使えることは知られてしまった、無しにはできん話だ」

「国が対応を考えてくれるなら今はそれに従って、よくない方向になりそうならどこかに逃げよう、魔法の使える異世界でも行けばいいさ、ぴょんと転移とかできないのか?」


「ちょ・・・そんな・・・まあ、そうだよね・・・」

「今更、無かったことにはできないよね」

「明日、学校に行くのが怖いよ」


「気にせず、普通にするのがいい、ただ言われたように力については言えないことになったと説明することだ、守秘義務もあるし軍属になったから秘密漏洩は軍法会議で銃殺刑だぞ(笑)」


「ちょっと怖いこと言わないでよ・・・」


「お父さんふざけすぎよ・・・まあそうね、普通にするのが今は一番だと思うわ、せっかく周りの方が考えてくれているから、今は普通に暮らすことを考えましょう」


 ちょうど、凜が起きてきたので再び普通にすることを確認しあった。

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