バウンダリ編 第10話 管理

 山本さんたちが帰ってきた。

 結局施設内にある地下訓練場の壁をすべて突き抜いて奥にあった直径500mmの再生水給水管で止まっていたらしい。

 一番奥の訓練場は水浸しのようだ・・・


「光なので水で拡散したのか減衰したのか、とにかく止まってよかった」

「給水も再生水なので影響も少ないですし、2時間位位で修理できるようですので、その間は上水に切り替え運用できるようです」


「止まらなかったら恐ろしいことになるところだった、イメージとはすごいな」

「とりあえず、魔法で行えることを精査する必要があるな」


 渡辺さんや河人さん4人が顔を突き合わせなにか相談しているようだ、しかしどこまでも突き抜けるとイメージしただけでこんなに威力が上がるとは思わなかった。

 もっと他にもできることがありそうだし少し実験する必要があるな、場所が問題になるけどなんとかしてもらおう。


「導人くんとりあえず検証はこれで終了して、先程の会議室に戻ろう、少し保護者の方も交えて相談もあるし」

「はい、すみません施設を壊してしまって・・・」

「いや良い、お陰で君の力と可能性がよくわかった」

「さあ戻ろう」



 会議室に全員が揃い話が始まる。


 国家安全局の高橋さんが書類を出しながら話し始める

「報告書では読んでいましたが、導人くんの力を、実際先ほど確認されていただきました、そのうえで国として正式に保護並びに監視対象とします」

「これは、通達でありますが拒否権は無いと考えてください」

 

「本来国民には自由と権利が認められていますが、導人くんの力はあまりに強く一人軍隊と評されても過言ではないことを理解していただきたい」

「報告にあったようにダンジョンの氾濫を一人でわずか30分程度で終息、その魔物の総数は2千近くであったようです、どう贔屓目に見ても普通の個人として扱うのは無理があります」

「それに、国単位による速やかな保護と秘匿が必要なのはご理解できると思います、これは、導人くんだけではなくご家族も必要だと考えています」


「今現状の対策では関係者の情報秘匿とマスコミ等への情報漏洩防止がとられており、先日のよもつくにダンジョンでの氾濫は発生していない事と正式に処理が行われています」

「これからの事ですが、導人くんは中学校卒業後軍学校高等部へ入学していただきます、それまでは非常勤の陸軍情報管理部特別技能職員として登録し保護対象として周辺に俗にいうSPを配置します、これはご家族も同様に保護いたします」

「ただとても危険になることが予想されますので、危機回避の為にも情報は出さないようにお願いいたします」


 導人はそっと手をあげ

「すいません、少し質問があるのですが?」

「はい、何でしょう?」

「危険て言うのはどういう事でしょうか?」


「ああ、魔物の氾濫を鎮静化できる力というのは先ほど言ったように軍が銃器を用いてもなかなか速やかに達成ができないのが普通です、これを導人くんは手ぶらで行える」

「これは、どこの国やあってはいけない事ですが犯罪組織においても、喉から手が出るほど欲する力です」

「本人を拉致するのが難しくても、家族の方を拉致し能力の執行を強制することも考えられます・・・」

「そして、君は考えなくても周りを害するかもしれない懸念が起これば、国民から家族ごと凶弾されることがあり得ると言うことです」


「そんなこと・・・」

「それほどの力だと理解してください」

「・・・はい」


「この書類にサイン頂いた時をもって君は、軍人となります、少額ですが給与も出ます、代わりに業務の依頼と言っても能力についての検証を一緒に行っていきたいと考えています、これからむやみに力を使用しないようにしてください、これは先ほども言ったように危機回避のためと考えてください」


「ご両親も確認とサインをお願いいたします、それと守秘と保護承認のサインをこちらにお願いします」


「それでは、これから同僚としてよろしくお願いします、ご家族の方もよろしくお願いします」


「ああっと、これは高等部のパンフレットになります、一応専攻科を決めてください、入学は決まっていますが勉強もさぼらずお願いします、一応入学試験は受けてもらいますので、ではお疲れさまでした」


「それではまた車でお送りします、こちらへどうぞ」


 帰りの車の中で

「みんなごめん、こんな事になるなんて・・・」

「思ったより早く就職も決まったし、周りに話が広がらなければいい話だ、凛も良いな?」

「私にも使えないかな? お兄ばっかりずるい」

「凛さっきの話であったように家族以外では話はするなよ」

「・・・は~い」



 兄弟なんだしきっとできるはず・・・


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