バウンダリ編 第9話 実践

 部屋を出て、駐車場と反対側に少し移動すると大きめの下が切れた半円形の鉄製ドアが有り、真ん中から開くようだが、右半分のドアに防火扉にあるような普通のサイズのドアが開いた。

 そのドアをくぐり、中に入ると結構大きな射撃場?地下なのに的まで100m以上はありそうだ。


「ここは、少し大きな口径用の射撃訓練場で100mと150mの的があります」

 軍務省の渡辺さんが、

「使える属性は2つだけかい?」

 と聞かれたが、

「まだ、試していません、使えるようになったのが4日位前なので」

「ええと、月曜日から火曜日にかけて熱が出て、初めて使ったのが火曜日の晩になります」


「そうか、済まないが試してみてくれんかね」

 と渡辺さんに言われ

「まず、基本の水と火と・・・何があるんでしょうか?」

「ん? そりゃ・・・土かな?、ええと山本くん魔法の属性って何があるんだ?」


「えっ、魔法は詳しくないのですが? 光とか雷? あと氷は水と一緒かな?」


「んーと、ちょっと試してみます、土って鉄砲の弾のイメージで良いんですよね」

手の上でちょっと尖った金属を作り打ち出してみた。


 打ち出した瞬間にパン!と音がなり、向こうの的が砕け散った・・・


「今の音は、ソニックブームか?」 

「破裂音がしましたね、威力もあるようです」

「だけど、下層のモンスターには銃は効かん、土じゃなく光とかはどうだろう」

「導人くん、光はできそうかね?」


「ちょっと待ってください」

 手のひらに霧をどんどん集めながら光に変換し、的に向かって打ち出すイメージをつける、音もなく光が伸びていき的に穴が開く10cmちょっとの大きさだ。

「こんな感じでいいですか?」


「ああっすごいね」


「ちょっと」

 軍務省の渡辺さんに山本さんが呼ばれなにか相談している。


「制圧用の物なら・・・」

「ポリカーボネートか・・・」


「持ってきます」

「あるだけ持ってきてくれ」


「導人くん、ちょっと試したいことがあるので少し待ってくれるかな?」

「ああ、はい」


「ええと、渡辺さん小さいのでいいので銃って撃たしてもらうことはできます?」

「当然、ダメだね、威力は君の魔法のほうがあるようだが、危ないし取り扱うにも決まりがあるんだ」

「そうですか、すいません」


 そうしていると、山本さんと他に何人か透明な盾を持って入ってきた。

「とりあえず6枚持ってきました」


「とりあえず3枚重ねてやってみよう」

「備品なので・・・苦情きませんか?」

「何なら、個人的に弁償するさ」

「わかりました」


 的の前に3枚重ねて盾が置かれた。


「導人くん、最初に水それから土最後に光の順に打ってみてくれ」

「はい、行きます」


 まず水の玉を打ち出す、吹き飛んだようだが割れてはいないようだ。

 次に土、さっきよりも高圧縮するイメージで更に少し大きめの弾を作り打ち出す、やはりパーンと音がして盾に着弾すると1枚目は弾の大きさで貫通したようだが、2枚めと3枚目は割れてしまっていた。


「あーやっちゃった!」

 山本さんが叫んだ

「やっぱり樹脂タイプはだめですよ」

「まあ想像通りだ、穴が空いていたり割れたりしているけど重ねて次は光をお願いする」


「はい」


 的に向かい光を照射する。


「あれ?」

 後ろの的には穴が空いたのに透明な盾は何もなってない?


 近づいて見ると割れやヒビのところが溶けている。

「熱が加わってへニョへニョになっていますね」

「基本は熱なのか? イメージしたときの周波数が問題なのかもしれないね」


「光のときどういうイメージで撃ったんだい?」

「えーと、太陽の光を収束する感じで撃ちました」


「やっぱり、イメージで特性が左右するようですね」

「じゃあ全てを貫通するイメージで打てば良いのか? 導人くん光がすべてを貫通するイメージでもう一回やってみてくれ」


「はい、行きます」


 的までの直線をイメージしてそこを突き進む光のイメージ、無意識に的に向かい両手を向ける。

「あっ・・・」

 的どころかその向こうの壁にまで10cmくらいの穴が空いた・・・


「げっ・・・ちょっとまってくれ確認してくる」

 慌てて、山本さんが走っていく。

 少し穴を覗き込み、ドアから飛び出していった管理課課長の河人さんもついていった・・・


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