バウンダリ編 第8話 解説

 その夜、導人は霧を見せるためにはどうすればいいかを考えていた、そこで色の付いた霧を元の流れに返してみることにした。

 手のひらに霧を集め色を変える、目立つように赤にして元の霧に引っ付くように命令する、2つの命令だけどできたようだ、手のひらから飛んでいき壁が真っ赤になった・・・


 ああ、元の霧は壁を突き抜けるけど特性を与えたものは、物理的影響を持っているのね・・・掃除しよ・・・



翌朝起きて下に降りると探索者協会本部から9時過ぎに迎えの車が来ることになっているようだ。

 探索者協会本部はフジと呼ばれるオルタスで一番高い山の麓にある、周辺にダンジョンが3つほどある危険地帯を管理している、ここから高速を使えば車で50分くらい?

 何故か両親がスーツを着て気合を入れている、話しをしに行くだけだよね。

 一応自分も制服を着て準備をする。


 約束通りと言うか10分前に迎えの車がやってきた、皆で乗り込む・・・なぜか妹の凛も一緒だ、父さんに聞くと家族全員で行かないといけないらしい。


 出発すると、後ろと前にも同じ種類の車が付いた・・・何日か前から周辺に居た車だ見覚えがある。


 車は高速に乗りフジに向けてひた走り、45分程で到着した。


 探索者協会本部に到着すると正面ではなく地下駐車場に入っていく、奥まった所で少し止まると正面の壁が開きその中に入っていく、「到着しました」の声を聞き車から降りる。


 すぐ横に、ガラスの壁があり一部にドアが開いている、案内されるままついていく。


 少し廊下を進むとドアがありその中に案内されていく、中には楕円のテーブルが有り探索者協会本部の人だろうか6人ほどが座っている。


「お手数をおかけして申し訳ありません、探索者協会本部探索者管理部部長の有人 紡玖(ありひと つむぐ)です、横にいるのが管理課課長の河人 仁司(かわと ひとし)」

「で、こちらが国家安全局の高橋さんと田中さん、でそちらが軍務省の渡辺さんと山本さんです」


「こちらが、マル対・・・失礼、今回お話と検証をさせて頂く、深見 導人(ふかみ みちと)さんとご両親 和人(かずと)さんと澪(れい)さん、妹さんの凛(りん)さんです」


「「「よろしくお願いします」」」


「では早速、先日の氾濫について話をお願い致します・・・」


「ええと、入ダンは10時からで・・・」


・・・・・・


「と言うことで、友達がモンスターに捕まりそうだったので、周りの霧を集めて水の玉を作り、打ち出してモンスターを倒したと・・・言うことですね」

 部長の有人さんが周りを見回し、

「実際に見せていただけますか?」

 と言ってきた、そうなる予想はついていたので、

「こんな感じです」

 右手の手のひらに水の玉を浮かべる。


 そして練習しマスターした2属性同時をお披露目だ、

「あとは、属性?を変更することもできます」

 と言いながら、左手の手のひらに炎を浮かべる。


「触っても良いかね?」

 軍務省の渡辺さんが手を伸ばしてくる、水の玉に人差指の指先をつけ目の前に戻すと親指と人差指でスリスリしながら、

「うん・・・水だな」とぼやいていた。


「すいません解除したいのですが、何か受けるもの有りませんか?」


 どこからか、ステンレス?金属製の3リットルくらいが入りそうなビーカーが持ってこられた。

「これに、入れてください」

 素直に従う


「限界は分かっていますか?」

 軍務省のええと山本さん?から質問が来た。


「この前の氾濫の時には手の上からだけでは間に合わないので、周辺に球を複数構築して打ち出しました、それを30分以上でも大丈夫です」


「少し威力を確認したいな」

 軍務省の山本さんがそう言うと課長の河人さんが、

「深見さんご家族は、飲み物でもお出ししますので、こちらでくつろいで頂いて、導人くんお願いできるかね?」


「ああええと、大丈夫です」


「それじゃあ、皆さんこちらへ、ご家族はすぐ担当者が来ますので少しお待ち下さい」


 ぞろぞろと、皆が出ていった。

 ぽつんと家族だけ残されたが、凛が

「おにいちゃんは、これからどうなるの?」

「多分、世界中で一人の魔法使いだから国の保護対象にはすでになっているようだ、もうすでに普通の一般人ではないということだな」

「解剖されちゃうの?」

「さすがにそれは・・・」


「ふふっ、そんなことはしませんよ、簡単なものしかお出しできなくて申し訳ありませんが、私管理課の米田と申します」

 とコーヒーなどのメニューが書かれた紙片を渡してきた。

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