第33話NEL教団

亮は分に蓋を開けようとして

ブラウンの顔を見るとうなずいた

亮は蓋を開けて臭いを嗅ぐと

「う~ん、揮発性があって鼻の奥にある違和感

そしてこの香り粘膜、及び皮膚浸透力のある

合成麻薬に近いものですね」

ブラウンは目を見開いて聞いた


「わかりますか?」

「違いますか?」

「実は昨日手に入れたものでこれのお風呂に入ると

麻薬を打ったみたいな快感をえられるものらしいです」

「なるほど本人も気づかず麻薬を摂取させる事が出来ます。

 例えばジャグジーとかプールとか」


「でもこの成分に違法性のあるものが入っていないのです。

これが分析書です」

「分析は出来ても製法は分からないというわけですね」

「はい、簡単に出来るようでしたら大変な事です」

「そうですか。美咲さん紙とペンを借りてください」


亮は言うまもなくジェニファー紙と

ペンを持ってテーブルの上に置いた

「日本語分かるの?」

そういうとジェニファーが微笑んだ。


亮はしばらく目をつぶり考えると突然目を開き

猛スピードで紙に化学式を書きだした

そして薬剤成分と製法の手順を書き終えると

成分の抽出法を書いた。


「この成分を配合すると同じ効果の物が作れます」

「と言う事は簡単に出来ると言う訳ですか」

「はい、僕と同じレベルの人なら」

「これで、事件が進展しそうです。ありがとうございます。

 それとあなたが持っていたインスリン銃

 一丁いただけませんか?」


亮は美咲の顔をちらっと見ると

「日本に帰ってから送ります、改良型を」

「ありがとうございます」

ブラウンが亮と握手をすると亮はブラウンの

目を見て話をした。


「私たちは明日帰ります。

例のNEL教団から目を放さないでください」

美咲が念を押した

「大丈夫です。お任せください」

ブラウン捜査官は美咲と握手をした外へ出た二人は

小声で話した。


「本当にNEL教団を監視してくれるのかしら?」

「大丈夫ですよ、あの白い液体は

 NELから盗んできた物です」

「えっ、そうなの?」

「はい、さっきジェニファーが剥がした瓶に着いていた

シールに番号が書いてありました」


「どうして番号で分かるの?」

「その番号とファイルについていた番号が同じでした」

「やはりNEL教団は麻薬を使って信者を増やしているのね」

「それと女性です」

「女性?」


「ファイルの中に女性の顔写真がたくさんありました」

「なるほど、ところで亮。初対面の人の

情報ってどれくらい覚えているの?」


「そうですね。たとえば最初に会った金髪の

オリビアの場合は女性ですから記憶する

部分がたくさんあります。

ファンデーションの色、口紅の色、指輪のデザイン

ピアスのデザイン、ピアスの穴の数、

ネックレスのデザイン、洋服のデザイン、

パンティライン、靴のデザイン、

サイズ、パンストの色、チラって見えたブラのデザイン、

目、口、歯、鼻、眉毛の形、顔のしわ、耳の形、

手の形、爪、その他目に入った物全部ですね。

それに2二人の職員の顔やモニターに映っている情報、

見えた限りのファイルナンバーは覚えてきました」


「それって忘れないの?」

「はい」

「じゃあ、部室に入った時のブラウン捜査官の

押したパスワードは?」

「もちろん覚えています。ブラウン捜査官の奥さんは

 働いているみたいですね」


「どうして、頬に少しファンデーションが付いていたし

 唇に口紅も付いていました」

「そうか出かける時キスをしたのね」

「はい、しかもファンデーションの色が

オーク系だったから

ラテン系かアジア系。でも美咲さんをあまり

興味がなさそうだからラテン系ですね」


「すいごい分析」

「あはは、当たっていればいいんですけどね」

美咲は話を聞いて亮の利用方法を密かに考えた

「あっ、僕の利用方法を考えても無駄ですよ」

「えっ?」

「ところで4年前佐藤妙子さんの事件で

警視庁に来たジェニファーが居た事に

驚いちゃった」


「そうですか」

亮は知らないふりをした。

「何言ってるの、ミスター・ダン

外国人に変装しても気付いていたわよ」

「あはは、それでわざと落合先輩との別れ話

したんですか?」

「そうよ」

亮は自分の変装の下手さに落胆した。


「ミッションインポッシブルを見て頑張ろう」

「無理だって、好きな人の匂いは覚えているのよ」

「森さんはいまだにあの時の僕に

気づいていないようです」

「うふふ」

美咲は笑いが止まらなかった。


「ところでジェニファーは僕たちを無視しました」

「うん、私も驚いた。私を忘れても仕方が無いけど

 亮を忘れるはずないもんね」

「はい、何か理由があると思います」

~~~~~~

「ジェニファーあの男者何なんだろう?」

トム・ブラウン捜査官がポツと囁いた

「何か変ですか?」

ジェニファーエースに

座っているトムの前に来た


「うん、こっちへ来てたった3日で

ライブをプロデュースして成功させて、

乱射事件に巻き込まれ職業がファーマシスト

そんなやついるか?」

「それにフェロモンがムンムン」

「フェロモン?」

「そう、きっとあの原警視は彼に夢中です」


「ちょっと調べてみようか?」

「その必要ないみたい、データが出たわ」

「なに?」


「ハーバード大学経済学部を三年生に留学、

大学院で経営学のMBAを取って

日本とアメリカでPTの資格を持っている。

しかもMITの単位も取っていて、

アメリカのG.I.A.(米国宝石学会)と

イギリスのF.G.A.(英国宝石学協会)

の宝石鑑定士の資格を持っています


「ああ、相当頭がいいらしい。あれで女にモテて

 彼女が何人もいたら許せないぞ」

「はあ、私は女だから私は一緒に食事したいと

思います」

「ほんとうか?」

「はい、オリビアもそう言うと思います。

日本の情報がありませんからもっと

何かあるかも知れません」


「うん」

「そう言えばさっきインスリン銃と

言う話をしていましたが?」

「ああ、上からのお達しでFBIで使ってみたいそうだ」

「どんなものなんですか?」

「弾の中にインスリンが入っていて当たると

10分間動けなくなる」


「すごい、じゃあ人質事件の場合は

犯人と一緒に撃ってしまっても」

「ああ、無傷で逮捕できる」

「すごい」

「そのインスリンも彼が作ったそうだ」

「トム、彼に嫉妬している?」

「いや、実を言うと友達になりたい」

「うふふ、私も」

~~~~~~~

美咲は樫村と会うために亮と別れた。

そこにジェニファーからメールが来た。

「サブミッション」

亮はすぐにセントラルパークのシープ・メドウに行って

待っているとそこにジェニファーが来た。


「この場所覚えていたのね」

「はい、懐かしいです」

「亮が私に反応しなくて助かったわ」

「でも驚きました、FBIにいるなんて」

「私も試験を受けて入ったわ。亮のいないボストンは

寂しすぎる」


ジェニファーは立ち止まって亮に抱き付いてキスをした。

「すみません」

「それでもうすぐ日本のFBIに転属できるの」

「本当?日本にFBIがあるんだ」

「うん、アメリカ人の国際犯罪で逮捕出来るのよ。

あの時の事件のようにね」


「そうか」

亮がニコニコしているとジェニファーが

亮の顔を覗き込んだ。

「迷惑?」

「いいえ」

亮は日本に戻ってからの1年間の

事件の話をした。


「相変わらず亮の周りには事件が多いのね」

「はい、色々手伝って欲しい事が有ると思います」

「うん、早く日本に行ってラーメン食べたい」

「そうですね、一度日本に帰りますけど

頻繁にニューヨークに

来ますので、その都度連絡します」


「待っています」

亮とジェニファーは抱き合ってお互いの気持ちを

確かめ合った。


~~~~~~~

そこに小妹から連絡が有った

「小妹、文明とは連絡取れた?」

「亮、誰でも大歓迎だから」

「さすが兄さん太っ腹。みんなでフカヒレ食べよう」

「みんな連れて行って良いの?」

「中国人は一緒に食事をして仲良くなるんだよ」

「ありがとう」

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