第34話カズエ
「ブルック、大変」
突然、ブルックにジャネットから電話があった
「どうしたの?ジャネット」
二人とも疲れで目が覚めたのが昼過ぎだった。
「亮がテレビに出ているの」
「えっ」
ブルックがテレビを点けると
救急車の陰に映っている亮が見え
キャスターが消えたヒーローと言っていた
「亮がヒーローになっている」
「どうする?TV局に亮の事を教える?」
「教えようか、探しているみたい」
「そうね」
~~~~~
「さて、いよいよ反撃だな」
一文字は飛行場を見渡しながら
磯村に言った
「はい」
「一葉学園の理事は全員解任、嫌がるやつは脅せ」
「分かりました」
「ヤマト美容専門学校は諦めて、他の女子大を統合する。
何処も少子化で苦しいはずだ、尻尾を振って近づいてくる」
「はい」
「持っていろよ、俺を陥れたやつ、必ず復讐をしてやる」
500億円の資金とNEL教団の闇の金のルートを握った
一文字は自信を持って飛行機に乗り込んだ
~~~~~~~~
亮は電話をかけみんなを食事に誘った
スティーブのバンドたちはロサンジェルスに帰ったが
スティーブはモニカと一緒に来る事になった
「ジャネット今夜中華料理を食べませんか?」
「本当、うれしい。行くわ」
「ブルックにも伝えてください」
「はい、いまブルックと亮の事を
テレビ局に連絡しようかって
言っていたの」
「あっ、それは止めてください」
亮の顔から血の気が引いた。
「わかった、ブルックにも言っておくわ」
「ではチャイナタウンで8時に」
「そうだ、隣に住んでいる日本人が行方不明なの」
「警察には?」
「言っていない」
「僕は探せませんよ」
「そうだよね」
ブルックの声のトーンが落ちた
亮はそれに気を使って
「名前は分かりますか?」
「カズエ」
「苗字は?」
「分からない」
「そうか、カズエはたくさんいるからね」
「そうだよね」
カズエの名前が気になった亮は
時計を見て言った。
「今から行きますよ」
「本当。ありがとう」
電話を切ると亮は美咲に確認の電話を入れた。
「一文字の秘書の名前、新村一恵でしたよね」
「はい」
「僕が消えてから彼女はどうしていますか?」
「それが、私達が捜査に入る前に香港に
逃げていて事情聴取が出来なかった」
「今回も一文字とこっちに来ていませんよね」
「ええ、同行者にはいない」
「ひょっとしたら、二人は切れているのかも」
「どうして?あの二人は男と女の関係でしょ」
「いや、男と女の関係ほど怪しいものはありません。
一文字は平気で女を売る男です」
亮は屋島と三崎を思い出した。
「そうね」
「ジャネットの隣の部室の日本人の
女性がカズエというらしいんです」
「そんな偶然があるわけ」
「ちょっと行ってみましょう」
「わかった」
~~~~~~
亮と美咲がジャネットの部室に着くと
ジャネットは満面の笑みで亮に抱きついた
「昨日はお疲れ様でした」
「ううん、ありがとう亮がこんなに
私達にしてくれるなんて・・・・それより驚いたわ、
私達がいた場所で乱射事件があるなんて」
「はい、驚きました。それでこちらが僕の友人で
日本の警察官の原美咲さんです」
「こんにちは」
ジャネットは笑顔で握手をした。
「あなたが女優のジャネットね。綺麗ね」
「ありがとう。でもどうして日本の警察が?」
「はい、たまたまFBIに来ていて。
ニューヨーク市警にも知り合いがいるんです」
「すごい。じゃあ早速、隣にカズエさんという
日本人の女性が住んでいて凄く
優しくしてもらったの、
それで昨日のライブに来てもらおう思って何回も
尋ねたんだけど連絡が取れないの」
「日本に帰ったんじゃない?」
「それはないわ。日本に帰れないって泣いていたから」
「そう、いつごろから住んでいるの?」
「3ヶ月前に引っ越してきたわ」
「3ヶ月!」
美咲は亮の顔を見ると亮はうなずいた
「どれくらい帰っていなの?」
「もう五日も帰っていないみたい」
「何か事件にでもあったのかしら、仕事は?」
「日本レストランで働いているみたい」
「どこかしら?」
「日本名だからはっきり覚えていないけど、将軍の名前」
「将軍って、徳川家康?足利尊氏?」
美咲が将軍の名を上げてもジャネットはピンと来なかった
「違う、違う」
「ジャネット。タイコーかな?将軍じゃないけど」
「そうそう、タイコー。ミッドタウンにあるお店」
「うん、美咲さん行ってみましょう」
「はい」
「ありがとう。二人ともそんなに本気になってくれるなんて」
ジャネットは理由が分からず二人の優しさに感謝した
「僕達お店を訪ねますから、8時に」
「はい、楽しみにしているわ」
ジャネットの部室を出た亮は
「美咲さん、新村一恵の写真を
送ってもらってください」
「大丈夫持っているわ」
「そう、さすが」
日本料理店「太閤」へはジャネットの
部室から歩いて10分ほどだった
太閤はまだ店を開店しておらず
白木のドアを押して店の中を覗くと
和服を着た30歳過ぎの東洋人の
女性が英語で声をかけた
「お店は6時からです」
「客じゃないんです。この女性知りませんか?」
亮は着物の女性に美咲のスマフォの写真を見せた。
「あっ一恵さん」
「それで、一恵さんって新村一恵さん?」
「そうです」
亮と美咲が顔を見合わせた
「やっぱり」
美咲が日本語で声を上げると
それを聞いた女性が言った。
「日本人ですね、佐藤真紀子です」
「はい、原美咲です」
「團と申します。一恵さんは?」
「それが、四日前から無断欠勤なんで
心配していたんです」
「何か心当たりありませんか?」
「実は五日前に日本人のお客さんが来て
一恵ちゃんと話しをしていて
その後顔が真っ青になって
ガタガタ震えていたんです」
「ひょっとしたら、一文字?」
美咲が亮の方へ向って話すと亮はうなずいた。
「そうです、一文字さんです」
「えっ?」
「一文字って言う苗字変わっているから
覚えているんです」
「なるほど、事情は分かった」
「じゃあもう命はないかも知れないわ」
亮は諦めずに美咲にお願いをした
「美咲さん、市警に日本人女性の
身元不明者死体があるかどうか聞いてくれませんか?」
「わかったわ」
美咲はパーカー警部補に電話をかけて
日本人女性の事を聞いた
「ここ五日の間には日本人女性の
変死体は見つかっていないそうだ」
「ありがとうございます」
「ただ、身元不明の東洋人が薬物中毒で
病院に収容されている」
「本当ですか?」
「ああ、全裸でセントラルパークを歩いていたそうだ」
「会っていいかしら?」
「もちろん身元が分かれば助かるはずだ」
「で、病院は?」
「セントラル病院だ」
「ありがとう」
「ところで、ミスター・ダンは一緒かな?」
「どうして?」
美咲は強く答えると静かに答えた
「いや、何でもない」
パーカー声のトーンが下がった
「亮、セントラルパークで薬物中毒の
女性が保護されているそうよ」
「本当?じゃあ行きましょう」
二人は真紀子に挨拶してセントラル病院へ向った
美咲がセントラル病院の受付で話をすると
パーカー警部補から連絡を受けていた医師が
病室に案内をした
「発見されてからずっとこん睡状態です」
若い医師が説明をしている間亮は女性の顔覗き込んだ
「間違いない新村一恵さんだ」
「本当!」
「どこか外傷は?」
亮は医師に聞くと両手を広げて
「実は何処も異常が無いですね・
発見された時は薬物反応があったのですが」
「今は?」
「まだ、血液検査していません」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます