第19話ブルックのライブ
「これからジョージの仕事で
時々こっちへ来るんでしょう」
「はい」
メアリーは亮の脇にいる尚子にハグをした。
「尚子、すっかり有名になって。そして
大人になったわ」
「ありがとう。メアリー」
「ところで二人の関係は進展した?」
「いいえ、まだまだやることがあるので」
「尚子、亮を放しちゃダメよ。
みんな狙っているんだから」
「わかっています」
「亮、グミは帰る時観客に渡せるように
スタッフに頼んだ。1000個持ってきて正解だ」
ジョージは外を指さして笑って言った。
「亮、シンディたちが出ると言うので私も来ました」
「ありがとうございます。楽しんでいってください」
ジョージの秘書のエミリが亮と握手をし
亮は席に案内をした。
そこにロイから電話があった。
「亮、何処に座ればいい?凄い数の客だ」
「前から5番目のところに来てください」
ロイは四人の男女を連れてやって来て
すでに座っているジョージとメアリーと握手
をした。
「やあ、亮」
「ロイ。わざわざ来てもらって
ありがとうございます」
「凄い人だな、とてもアマチュアの
ライブとは思えないよ」
「はい、みんなが宣伝をしてくれたお陰です」
「そうだ、こちらがサイモン・キャンベル
音楽プロデューサーだ」
「アキラ・ダンです」
二人が握手をするとスティーブが
サイモンと握手をした
「サイモン!」
「どうしたんだ、ロンドンへ行っていたんだろう」
「ああ、さっきうわさの歌姫を観に帰ってきたんだ」
「そうか、君の耳にも入っているのか?」
「うん、今日はうちのバンドが演奏するんだ」
「なんだって、あのマイクがOKしたのか?」
「それどころか、ぜひ聞いてくれって言われた」
「じゃあ楽しみだな」
「あの二人お知り合いですか?」
亮が囁くと尚子が立ち上がった。
「サイモン、こんばんは」
尚子が立ち上がってお辞儀をした。
「わお、尚子」
サイモンと尚子がハグをしていた。
「ロイ、サイモンは知り合いが多いようですね?」
「ああ、サイモンはグラミー賞審査員の一人だよ」
「それは凄い」
亮は尚子がプロデューサーのサイモンを
知っている事が凄いと思った。
「こっちはうちのスタッフだ、後で紹介する」
亮は微笑んで頭を下げた
「ロイ、彼がうわさの?」
スタッフの女性コリーナがロイに聞いた。
「ああ、そうだ」
「彼がうちの会社に5000万ドルの利益を出した男ですか」
「今度の契約が済めばもっと儲けさせてくれる」
「では、彼にも相当な利益が?」
「いや、彼は年収50000ドルの
ファーマシストサラリーマンだ」
「えっ?50000ドル」
スティーブとサイモンは隣の席に座って
話をしていると開演のブザーが鳴った。
亮はジャック・チョウを探し見渡すと
右サイドにあるロイヤルボックスに
キャシーを伴って座っていた。
「ずいぶんと入ったな」
「当然よ、入場無料だもの。どうせ学生の遊びよ」
「そうだな」
ジャックは部下の二人が空港で
捕まったのをまだ知らなかった。
場内が暗くなると音楽と共に
センターからシンディとモニカとケイトが登場すると
場内からはすごい歓声が上がった
「みなさん、今日は来ていただいてありがとう」
シンディが話し始めると声援が起こった。
「今日はブルックの始めてのライブです」
モニカが話すとブルックを知らない場内がざわめいた。
「もし、聞くに堪えないライブだったら
途中で帰って結構です」
ケイトが話すともっと客席がざわめいた。
「もし、満足できるライブだったら思い切り拍手をして
アンコールしてください」
シンディが手を挙げると客席から大きな歓声が上がった
「おおお」
「みんな聞いてください、ブルックです」
三人が声を上げた。
三人が舞台の袖にはけるとバンド
音楽を鳴らした。
「すげー、このバンド」
客席の音楽好きには音を
聞いただけでわかっていた。
ステージ中央のセリが上がって
ブロンドのブルックの姿を見た瞬間
客席は総立ちになった。
ブルックはマイクを高く上げ囁いた
「亮、歌うよ」
そしてさっき亮が口紅で書いた文字
愛がライトに照らされ赤く浮き上がっていた
ブルックが脇を見ると音楽に合わせて踊っている
ジャネットと目が合った。
「行くよ。ジャネット」
ブルックは声を出したその声は聞いている人のすべてが
スターになる事が確信できる歌声だった
スティーブとサイモンは驚いたように顔を見合わせ
亮に握手を求めた
「亮!」
ロイが亮に向って親指を立てた。
「コリー、レコード会社を買収しよう」
「賛成です」
ジャネットは音楽に合わせて踊っていて
観客もジャネットの存在を認めていた。
亮は5曲以降のことが気になって
心のそこから喜べず
3曲目が終わったところで客席を立ち
尚子と舞台の袖に行った。
そこには、千沙子と明日香と友子が
じっとブルックを観ていた。
「亮、ブルック凄いわ。涙が出そう」
「はい、僕もです」
亮の目には涙が浮かんでいた
5曲が終わったところで
ブルックは衣装チェンジに戻って
白いミニのワンピースに着替えた。
「亮、どうしよう6曲目」
「大丈夫ですブルック、君は今まで以上に声が出る」
亮はブルックの喉のツボを押した。
するとブルックは亮の首に手を回しキスをした。
「これで大丈夫」
ブルックは手を振ってステージに戻ると
ジャネットは亮にキスをした
「じゃあ私も」
「亮、一緒に踊ろう」
亮の手を引くと舞台に引っ張った
スポットを浴びたブルックは
バラードの曲を歌いだし
ブルーのホリゾントライトで
影のようになって亮とジャネットは踊りだした
「上手ね、亮」
ジャネットは踊りながら聞いた
「はい、以前見たミュージカルを思い出しています」
「えっ?」
そこにブルックの歌にあわせてコーラスを唄っている
マイクが亮とジャネットの方を
見ながら目で合図を送っていた。
「バックで一緒に唄えって」
ジャネットが亮の手の中でターンをすると
マイクをそでから受け取って
ブルックの歌に合わせてハモった
それを聞いたブルックはホッとした顔をして
高い声を上げた。
客席から美しい高音を聞いて客席から声が上がった
「おお」
するとサイモンが立ち上がり外に出て電話をかけ
スタッフを呼んだ
「すぐ来てくれ」
バラードの曲は見事に終え喝采を浴び
舞台の袖に戻った亮はスタッフの拍手を受けた
「まったく器用な男だ」
千沙子は亮の頭を叩くと亮は千沙子に聞いた
「スタジオDの宣伝になりますかね」
「はい、ブルックがスターになった時に着てくれれば
もっと良いんだけど」
「わかりました、努力します」
「尚子さんもそろそろデビューしなきゃね」
「私、亮のいる日本に帰ろうと思います」
「本当!」
千沙子は応援していた尚子が日本に帰ってくる
事を聞いて嬉しそうに笑った。
「私はジャネットが似合うアクセサリーを作りたい」
明日香の目が輝いていた
「姉さん、ニューヨークにお店を出しましょう」
「お父さんに聞いた。
あなたが責任を持てるならいいそうよ」
「わかりました」
亮は嬉しそうに笑った。
「ただ、DUN製薬はやめるようね」
「はい、死んだ人間が戻れませんから」
亮は千沙子と明日香に攻められた。
「そうね、あなたは家で薬の研究を
していればいいんだから」
「あはは、今度は花粉症薬を作ります」
「本当?それは凄い」
ロイヤルボックスでブルックの歌を
聴いていたジャックはニヤリと笑った
「キャシー、どうやら10曲唄い終わりそうだな」
「はい、とても素敵な歌」
キャシーはうっとりとしていた。
「よし、これで金儲けしよう」
「あら、妨害するんじゃないの?」
「いや、俺がブルックのすべての権利を抑える」
「まあ、それは素敵」
「音楽著作権、営業権、肖像権。
世界中をドサ周りさせて・・・儲かるぞ」
ジャックはまた美しいブルックの体を
また抱けると思うとゾクゾクとした。
「初期投資にお金かかるわよ」
「それは、キャシー頼むよ」
「そうね。考えておくわ。でもブルックは
あなたと契約するかしら?」
「俺と契約をしなかったら大スキャンダルだ。
ビデオと写真たっぷり撮ってあるからな」
「ああ~。嫌な男」
キャシーは独り言を言った。
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