第38話

 今日のラッキートランプはっ!!






 熱も下がって学校に行ける!!



 学校に行けるってことは真鍋先輩と一緒に行けるって

 こと!!



 気合いを入れるんだ。木戸先輩のことなんて気にしない!!



 気にしない!!気にしないーーーー!!






 はあ。






 ………ダメだ、気になる。






 がっくりと項垂れつつも、僕はトランプを1枚ひいた。






 ハートの2…ラッキーアイテムはスマホケース






 スマホケース、かあ。






 自分のスマホを見る。



 こないだ落としちゃって、ヒビが入っちゃったスマホケース。



 まあいいやって使ってるけど。






 新しく買えってこと?






 ついた






 その時真鍋先輩からメールが来て、僕はスマホをポケットに入れて、階段を降りた。






「行ってきまーす」

「いってらっしゃい。あ、真尋!!」

「ん?」






 母さんが何かを思い出したらしく、もじもじしながら近づいてきた。






「先輩の写真、お願いねっ」






 ふふ。って笑ってそう言うから。






「母さん、ちょーぼりしょんだよ」

「ぼりしょん?」






 不思議そうな顔をしている母さんをほっといて、玄関を出た。






「おはようございます」

「うす」






 自転車に跨がったまま僕を見て、笑う。






 今日もカッコいい。今日も、ドキドキしちゃう。






「熱、下がって良かったな」

「はい!!先輩のアイスのおかげです!!」

「何だそりゃ」






 お前面白いなぁって笑ってるから、このノリのままいけるかな?って。思って。






 だって僕も真鍋先輩の写真、欲しいしさ!!






「先輩、熱が下がった記念に写真撮ってください!!」

「は!?」

「ダメ、ですか?」






 びっくりしている真鍋先輩を、調子に乗りすぎちゃったかな?って、恐々下から覗いてみる。



 真鍋先輩は一瞬僕をじっと見て。






 ぶはって、笑った。






「何、俺と新井で自撮り?」

「そうです!!」

「ま、いいけど………」

「やったーーー!!」






 やった!!真鍋先輩と写真!!






 心の中でジャンプして、僕は真鍋先輩の隣に並んだ。



 スマホをポケットから取り出して、カメラを起動させる。



 手を伸ばして、構える。






「もっと近寄らないとダメなんじゃね?」

「え?こ、こう………?」






 うわ。かなり近いよ?近いのに。






「お前何か腰引けてない?」

「ひっ、引けてないです!!」

「もっとこっち」

「わっ」






 ぐいって腰を引き寄せられ、次に頭を引き寄せられた。






「よし、撮れっ」

「はいっ………」






 って、撮った写真は。






 超近い、てか頭くっついてる。そして超アップ。






 真鍋先輩はばっちりカッコいいのに、僕の顔はばっちり赤くて、何か恥ずかしい。






「見せてみ?」

「え?ああ、は、はいっ」

「わっ……」

「あっ!!」






 触れた手にドキッとして、思わずスマホを落とした。






 やっちゃったよ!!






「わり。大丈夫?壊れてない?」

「大丈夫………あ」

「どうした?」






 拾って見つけた、ヒビが入っていたスマホケースの、完全に割れた部分。



 欠片を拾って、真鍋先輩に見せた。






「ケースが」

「うわ、ごめん」

「元々ヒビが入ってたから、大丈夫」






 そこまで言って、思い出す。






 ラッキーアイテム・スマホケース。






 そうだ!!






「先輩明日ヒマですか?」

「明日?………特に予定はないけど」

「ちょうどスマホケース買い替えようと思ってたんです!!良かったら先輩、僕のやつ選んでくれませんか?」






 今まで、ラッキートランプは必ず僕と真鍋先輩を近づけてくれた。



 だから、もしかしたら。今回も。






 きっと。






 そんな風に思って、ダメ元で聞いてみる。






 神さまお願い!!ううん、ラッキートランプお願い!!






「明日か、そうだな。行くか」

「やったーー!!」






 ありがとう神さま!!ありがとうラッキートランプ!!






 思わずぴょんって跳び跳ねて、足がいてってなって、僕はこらって真鍋先輩に怒られた。






 明日、土曜日。真鍋先輩とお出掛け!!






 どうしよう、どうしよう!!



 ドキドキするよーーー!!

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