第37話
「木戸先輩………」
ふふふって笑いながら木戸先輩が部屋に入ってきて、僕の勉強机の椅子に座った。
真鍋先輩がそれを苦笑いしながら見て、ベッドの方に来る。
どうして一緒に来たの?どうやってここまで来たの?
絶対に聞けないけど、僕の中でぐるぐるしてる。
「アイス買ってきたけど、食う?」
「食べたいです!!」
「熱は?」
「あ…………」
「ん、朝よりいいな」
パクパクって、魚みたいに口が動いちゃう。
だってまた、また。
コツンって、真鍋先輩のおでこがくっついて。
しかも今度は、後頭部を押さえられちゃって。
離す時にくしゃって、その手で頭を、撫でるから。
「光ちゃんおれの前で堂々とイチャイチャしないでよ」
「してねーっつーの」
「してるって」
「ほら、亮平くんも食べるんでしょ?アイス」
「あ、いるいるー」
ああ。もう。
僕の気持ちが上がったり下がったり。
急上昇の急下降。
せっかく、真鍋先輩と会えるって。会いに来てくれるって。
だからおとなしく、寝てたのに。
「新井ちゃん、食べよ?」
優しく笑う木戸先輩に、僕は複雑な気持ちで、イッパイ。
「いただきます…………」
甘いはずのアイスが、全然甘く思えなかった。
「また明日な」
「じゃあねー、新井ちゃん。お大事に」
結局アイスを食べながら僕は、真鍋先輩と木戸先輩が仲良く喋ってるのを、泣きそうな気持ちで見てるしかなくて。
帰るって雰囲気に、ほっとした。
これ以上2人を見てたら、本当に泣いちゃう。
だってやっぱり、仲がいいんだもん。
「明日休みでも、朝、寄る」
木戸先輩が先に階段を降りて行って、母さんがわざわざありがとうーなんて言ってる間に、真鍋先輩がそう言ってくれた。
「先輩………」
「明日な」
「はい」
ぽんって、僕の背中を叩いて、真鍋先輩も階段を降りて行った。
明日、学校行けるかな。行きたいな。
でも、行けなくても。
寄ってくれるって。
そっと窓を開けて、こっそり覗いた。
いつも僕が乗ってる自転車の後ろに、木戸先輩が乗ろうとしてるところだった。
ズキンって。胸が、痛い。
見るんじゃなかったって、閉めようとしたその時。
真鍋先輩がこっちを見て………笑って、くれた。
真鍋先輩。
好きだよ。
小さく手を振って、心の中で、呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます