第39話

「鼻声ひどいな。お前マフラーと手袋は?」

「あ、忘れちゃいました!!取ってきます!!」






 学校に行けるのが嬉しすぎて、すっかり外が寒いってことを忘れてた。



 家にUターンしようとする僕を、真鍋先輩が止めた。






「俺のマフラー貸してやるよ。今日はそこまで寒くないから。手袋は………俺のポケットでいいだろ」

「え?で、でもっ………」






 俺のポケットって。






 また、あれやるの?真鍋先輩のブレザーのポケットに手を入れて、ぎゅって?






 あれね、あれ。思ったよりくっついちゃうんだよ。



 ブレザーのボタンがとまってるからね、ポケットが前の方で。



 結構全力で、抱きついちゃうんだよ。



 嬉しいけど。嬉しいんだけど。






 ドキドキが、止まらなくて、胸が苦しくなっちゃう。



 真鍋先輩好きって。言いたくなっちゃう。






「ほら、行こう。時間結構ギリ」






 ふわって、僕の首に真鍋先輩のいいにおいがするマフラーが巻かれて、腕をつかんで支えてくれる。



 僕が後ろに乗ると、真鍋先輩は僕の手を取って、自分のブレザーのポケットに、突っ込んだ。






「ちゃんとつかまってろよ」

「………はい」






 そして、走り出す、自転車。






 空気はもう冷たくて、ちょっとずつ冬が近づいてる。



 クリスマスの飾りなんかも、あちこちで見かけるようになってた。






 真鍋先輩にくっついてる。



 背中にほっぺたを、ぎゅって。しちゃう。






 そして明日は一緒にお出掛け。






 嬉しい。



 嬉しいな。






 ずっとこのままでいたい、なんて。






 僕はちょっとだけそんなことを、思ってみた。

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