第33話

 ぼりしょんだよ。






 透の台詞じゃ、ないけど。



 僕はちょーぼりしょんだよ!!って、布団の中で、思ってた。






 昨日、雨に、濡れた。






 真鍋先輩と木戸先輩の恋人同士みたいなシーンを見ちゃって、僕は傘を持たないまま雨の中を歩いた。



 びしょびしょになって、そこに真鍋先輩が傘を持って来てくれて、一緒に電車に乗って帰ってきた。






 思い出して、ひとりで赤くなる。






 真鍋先輩は電車がガタンって揺れるたびに、僕が転ばないように、僕を抱き締めるように、腕に、ぎゅっと力を入れてくれた。






 勘違い、してしまいそうだった。






 真鍋先輩、もしかしたらって。



 もしかしたら、僕のこと、って。



 勘違いしてしまいそうで、必死に息を潜めて、てのひらを握りしめて。






 そうじゃないって、自分に言い聞かせた。






 自転車の時と同じように、真鍋先輩は玄関の前まで送ってくれた。



 すぐに風呂であったまって着替えろって言ってくれたのに、僕は放心状態で、真鍋先輩が見えなくなった後も、そのまま玄関先に立ってた。






 で、これ。






 風邪ひいて、熱!!



 自慢じゃないけど小学校中学校全部全部皆勤賞だったんだよ!!



 風邪なんて記憶にないんだよ!!






 ぼりしょんすぎて悲しいから、ラッキートランプをひこう。






 そう思って、リュックからトランプを取り出す。






 シャッフルしてシャッフルしてーーーこれ!!






 ダイヤのK…たまには休んでもいい






 ………ぼりしょんだよ。






 休んでもいいなんて、休んだら真鍋先輩に会えないのに、自転車に乗って………くっつけないのに。



 って、真鍋先輩に連絡してない!!しかも昨日の帰りが電車だったから今日は自転車じゃない‼︎






 やばって、僕は慌ててトランプをしまって、スマホを手にした。



 でもまさにその瞬間に、ついたってメールがきて、僕は痛む足を我慢してダッシュで窓を開けた。






「真鍋先輩!!ごめんなさい!!」






 うわ、我ながらすごい鼻声。






 真鍋先輩が僕を見上げてから、玄関の前に立った。



 下でピンポーンって鳴ってる。






 え?え?ちょっと待って、ちょっと待って!!ちょっと待ってーー!!



 どういうこと⁉︎どういうことなのおおおおお⁉︎






「真尋ーー!!お友だちに上がってもらうからねー!!」






 階段の下から母さんの大きな声。



 そして足音。






 嘘でしょ⁉︎真鍋先輩が僕の部屋に!?



 ど、どうしよう‼︎どうしよう!?






 僕、どうしたらいいのーーー!?

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