第30話
昇降口で待っててって。
昼休み終わるまで5人で一緒に居て、先輩たちがじゃあって教室に戻る時に、真鍋先輩に耳許で言われた。
くすぐったい耳が、赤くなるのが分かった。
聞いてみたい。
真鍋先輩は、僕のこと何だと思ってる?ただの後輩?
僕のこと、どう思ってる?やっぱりただの後輩?
どうしてそんなに優しくしてくれるの?僕が怪我したから?
でもじゃあ。
じゃあさ、怪我が治ったら、もう、こうして話したり出来ない?
相手が僕じゃなかったら?
相手が透や友弥でも、同じようにしてた?
聞きたくて。でも、聞けなくて。
「まーくん、授業、始まるよ」
友弥が、僕の肩をぽんって、叩いた。
「んな顔すんなって」
「………どんな顔?」
反対側の肩を、ぽんって、透が叩く。
「母性本能くすぐりそうな顔」
「まーくん、見てみ?女子がまーくん狙ってるよ」
「何言ってんの?2人とも。………教室、入ろ」
2人が後ろで何か言ってるけど、もう僕の耳には入らなかった。
ただただ真鍋先輩のことばかり、考えてた…………。
遅くなっちゃった。
早く昇降口に!!って思ってたのに廊下で坂本先生につかまって、足はどうだとか来週から部活に顔出せるかとか色々色々聞かれて言われて。
足を引きずりながら、精一杯早く、歩いた。
1年の下駄箱に真鍋先輩は見あたらなくて、僕は自分の靴を持って、3年生の下駄箱を覗きに行った。
「………………っ!?」
息が、止まるかと、思った。
そこに、ね。
僕は見ちゃったんだ。
真鍋先輩と、抱き合ってるような、木戸先輩。
何か言って、笑って、くっついて。
何を言ったのかは分からない。聞こえなかった。
でも。
でも。
でも、さ。
帰ろう。
僕は、音を立てないようそっとそこから離れて。
雨の中を、歩き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます