第60話 相変わらずの幼馴染み

 数時間後。図書室が閉館時間になってしまい、俺たちは各々、帰宅した。

「じゃ、またな」

「おう」

三人と別れて一人、家路を辿っていると背後から人の気配を感じた。後ろの人に気づかれない程度に首を動かして、背後の人物を確認した。俺の後ろで、うっすらと明るい街灯に照らされていたのは、祐希だった。

「なぁ、祐希。何してんの?」

前を向いたまま、呆れたような声を出すと

「げ。バレてた」

そう言って祐希は物陰からひょっこり顔を覗かせた。

「お前はそうゆうの向いてないって。チビのくせに動きは雑なんだから」

「ふ~んだ! もっと上手になるもん!」

よく分からない意地を張ってきた祐希に、

「将来の夢はストーカーか何かですか?」

嘲笑して訊くと、

「それはヤダ」

祐希は肩をすくめて、幼稚園児のように拗ねてしまった。

「じゃ、隠密行動の特訓はなしだな?」

「はい……」

やけに素直に頷いた祐希の頭を軽く撫でて、俺たちは二人で家まで帰った。

「それじゃあ、また明日」

いつも通りというか、これまで通り扉の前で別れようとすると、

「あの、陽太」

祐希は真剣な声で、俺を呼び止める。

「ん?」

適当に返事をして祐希の方を見ると、祐希はすごく真剣な眼差しを俺に向けていた。

「あの……。その……」

言いづらそうに口ごもっている祐希に、

「勉強は教えねぇぞ」

そう言って、足早に家の中に入ると、扉の奥から

「陽太のバ~カ! ベ~だ」

祐希の幼稚な声が聞こえてきた。

 そんな、昔と一ミリも変わらない祐希の行動に小さく笑って、俺はリビングに入った。

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