第39話 メンドーな奴
校門の前に到着して、亮太たちに声を掛けられる。と思いきや、今日は違う人物の声が勢いよく耳に飛び込んで来た。
「お疲れ!」
そう言って、俺を押し倒す勢いで抱き着いてきたのは祐希だった。
「お疲れ。ってか離れろ」
クレバーに返答して祐希を引きはがすと、
「いいじゃん、たまには!」
祐希はリスみたいに頬を膨らませる。
「アホか。お前ほんとに高校生?」
そうやって怒りを表現する祐希に冷たく返して、俺は先を歩き始める。
「ちょっと待ってよ~」
テンポの速い足音が後ろから聞こえてきて、俺の隣になるにつれてテンポが緩くなる。
「てかさ、なんで祐希がここにいんの? 祐希のクラス、ホームルーム短かったろ?」
俺と栞がクラスから出たとき、既に祐希のクラスのホームルームは終わっていた。だから率直な疑問を素直にぶつけると、
「えっと、まぁ……。何でもいいでしょ」
と、ものすごく分かりやすく誤魔化された。
「まぁ、興味ないけどな」
カバンを右手から左手に持ち替えて、祐希との間に僅かな壁を作る。理由は至って簡単で、彼女がいるのにゼロ距離で女子と歩くのは違うと思ったからだ。
「少しは興味持ってよ! 幼馴染みでしょ?」
ここまでの俺の態度が気に触れたのか、祐希の悲壮感が混じった怒りの声が周囲に響く。
「幼馴染みに興味・関心とか持たねぇよ、フツー」
俺は祐希の心の内を考えもせずに、いつも通り冷たくあしらう。そうした途端、隣から聞こえていた小さな足音がピタリと止まった。
「祐希?」
いつものテンションなら笑って突っかかってくるところ。違う展開にさすがの俺も心配になって振り返ると、祐希は今にも泣きだしてしまいそうなほどに目を赤くして、こちらを睨みつけていた。
「マジか……」
祐希には聞こえないように小さく呟いて、祐希の元に小走りで戻る。
「……陽太のバカ」
祐希の目の前に立ち止まった時、祐希は淋し気にそう言ってスタスタと俺の脇を通り抜けて行った。
「メンドーな奴……」
思ったことを口にしながらも、多少なりの罪悪感を感じた俺は、遅刻ギリギリに使っている緊急の近道を使って、いつもの半分の時間で自宅に戻った。
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