第57話 七月二日②

 会話を終え、食事を終え、朝の身支度を終え、一度姉の様子を伺いに病室に向かうと途中で

「あ、弟さんっ。今、お姉さんが部屋の鍵を内側から閉めてしまって朝から籠りきりなんです。外からの呼びかけにも全然応じてくれなくて・・・・・・」

自分たちの外へ外へと神経をとがらせている時というのは、大抵内側からほころびが出るもので、今回もその例らしい。

問題はいつでも、どこにでも発生する。

「とりあえず、僕が様子を探ります」

そういって病室の前へ向かう。多くの病室は病院が医師や看護師が治療を行う都合上、鍵は内側からはかからないらしいが、姉の場合、今回の事情と病ではないことを加味して内側ロックのできる部屋だったらしい。

「姉貴ー、生きてるかー」

返事はない。ただの屍のようだ。

まあ、屍ではないにせよ、返事はない。

いや、本当に屍でないのだろうか。

今この状況、姉は命を狙われている存在なのだ。最悪のケースもあり得る。幸いなことにドアの隙間から光が漏れていて、風で木々が揺れる音は聞こえるので、窓を開けていることは推測できる。今のところ、得ることのできる情報はそれくらいしかない。過去の経験上、姉が部屋に立てこもるなんてことはなかったように思う。そう思うと、事態は姉自身の問題なのか、それとも外部的要因によるものかに関係なく深刻なのかもしれない。

こうなったのならば、強硬手段を使うしかない。

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