第55話 幕間

「まずいことになったね、全く。

「かなりこの終盤戦の事に関しては君に一任した部分は多かったけれど、最後の一言の影響、余計さは大きいだろうね。

「これによってもうここは僕もあずかり知るものではなくなってしまったよ。

「でも、まあ、いいよ。本当に。気に病まなくていい。

「これでこそ、現実と言うものじゃないか。自分の思い通りに物事が進まず、一寸先は闇で、暗中模索をするしかないこの理不尽さ。

「最高に、面白い。

「当初予定していた名前の意味も変えなくてはいけないけれど、そこは僕の腕の見せ所っもんだろうよ。

「こうも言い分を重ねると図らずとも君を責めているように、君自身は感じているかもしれないけれど、そんなことはないよ。

「こういう状況に丁度ぴったりの諺とかなかったっけ?えっと、えっと、あ、『怪我の功名』ってやつ。まさにそんな感じだよ。

「佐倉君、佐倉千景君、君のおかげでこの物語は一層の深みを増し、素晴らしい結末を迎えるだろう」

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