第36話 六月二十八日③

「今更まともな人間になろうだなんて虫がいいんじゃないか?」

その剣のような言葉は作り始められた僕の心の瘡蓋を引っぺがして、また噴出した血液を見向きもせず改めてほじくり、抉った。

心が痛んだ。僕は見たんだ。僕の評価。他人からの目線での僕の前科を。

覚えのないものが散見した。でも、きっと自分がやったことに間違いはない。

「無視かよ。加害者様の分際で。都合が悪ければ黙る。なんだ?政治家になる訓練でも受講してるんですか?」

自分が身を置いていた世界は当時、明るくきらびやかで平和で完全で面白いと思っていた。でも実際は、自分の気づいていない軋轢や対立があって、そんなことはつゆ知らず、他人の地雷という地雷を踏み荒らし、起爆させてはまた暮らす。

その揺り返しが今この瞬間にやって来ているのだ。

僕の他人への無関心と非常識な振る舞い。無遠慮と無頓着のグロテスクな交じり合い。

改めて僕は、最低だった。

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