第51話 佐東銀山城へ

元就は高速で頭を回転させたのだろう。

てきぱきと地図を元に策を練った。


そして、正式に部下たちへと出陣の命令を下したのは、数日後の事であった、

「いよいよか」

「ああ。今回は殿も一緒に出陣されるな」

兵たちは、元就がいることで士気が高まっているようだ。


「父上」

「隆元、留守は任せよう」

「はい、父上。ご武運を」

「弟たちの事も、よく頼んだぞ」

「はい」


隆元は、二人の弟ともども元就の背を見送った。

悠月たちは、元就に追従することとなった。


「出陣に同行か……」

「僕たちはちゃんと戦えるだろうか?」

「戦に出る、というよりかは、従軍記者ってところだろ。基本的に」

「従軍記者、ねぇ……」

元就は肯定も否定もしない。

だが、実質上の従軍記者のつもりで従えるようだ。


二人はもちろん、武術の心得などない。

せいぜい、松井は多少剣道の心得がある程度だ。

だが、軽く人に教わった程度だし、役に立てるとは思えない。


元就は、佐東銀山城の裏にある長楽寺近辺に陣営を置くこととした。

先に寺へと協力を仰ぎ、あっという間に調略は済んでしまった。


「佐東銀山城は難攻不落というが、策はある」

元就の言葉に、やはり毛利軍の士気は上がる。

「まずはみな、夜に備えて休んでおくことじゃ」


元就の指示で、兵たちは夜まで休むこととなった。

「夜戦か」

「もしくは、殿のお考えになることだ。夜に何らかの動きがあるんだろう」


「悠月、史実だとどうなるんだい?」

「どうだったか……、ちょっと思い出す時間をくれるか?」

悠月は必死に思い出そうとする。

「……もしかして、忘れていた?」

「郡山合戦、月山富田城の戦い、厳島の戦いの印象が強いからさ……」

悠月は苦笑いした。

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