第52話 草鞋
元就は、何らかの準備をしているようだった。
「何かお手伝いしましょうか?」
「おお、悠月殿、松井殿。では、少し運搬を頼もうかの」
元就は嬉しそうに言った。
そして、頼まれたものは、箱一杯に詰めてあった……。
「これ、草鞋!?」
松井は驚いて上ずった声が出る。
「草鞋なんかどうするんですか?」
「いや、草鞋なんて履く以外の用途ある?」
「思いつかないよ……」
元就はと言うと、ただただ笑っているだけだ、
草鞋をどうするか、という問いには答えてくれそうにない。
とりあえず二人は、元就の言う通り草鞋を運んだ。
「ところで、この草鞋……」
「何足あるんだろう?」
「数えてみるかの?」
元就はまるでからかうように言った。
「無限にありそうですね。遠慮します」
悠月の一言に、松井と元就は笑った。
「千足あるんじゃ」
元就は明るい声で白状した。
「え!?」
松井は驚いた声を出す。
時間は刻々と進み、遂に夜になった、
「さて、始めるかの」
元就はいきなり草鞋に点火する。
火を点けた草鞋1000足を夜の太田川に流した。
「燃やしちゃったよ……」
悠月は驚いていた。
なお、現在の広島には、このことが由来となったのか、1000足の草鞋が流されたとされる太田川岸には千足(広島市東区戸坂)という地名がある。
安芸武田軍は、城から草鞋が燃え盛るさまを見て動揺した。
「赤々と何かが燃えておる!」
安芸武田軍はあっという間にパニックに陥った。
元就は、警備が手薄となった佐東銀山城の裏から攻めるよう、采配を振るう。
「今じゃ! かかれ!」
毛利軍は夜の戦場をかけ出した。
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