第27話

「はい!」

 そう返事をすれば、シャーリーは満足気に微笑んだ。それに顔を赤くするイネスを見て、

「おや?見惚れたか?」

「か、からかわないでください!」

「ははは、すまないな」

 そう言いながらもじっとイネスを見つめるシャーリーは、真剣そのもので、

「…………そうだったんだな」

 と呟くと、茶を飲み干して席を立った。

「少し眠くなったよ、先に寝る。おやすみ」

「あ、はい、おやすみなさい」

「お前もちゃんと眠れよ?もう数日経てばパラテルルの来る約束の日だ」

 そう、もう約束の日はそこまで近付いているのだった。

「もうすぐ……なんですね」

「ああ……頼むぞ」

「分かっています。さっき約束した通り、お守りします」

 互いにじっと見つめ合っていると、イネスの顔が段々と赤くなってきて、顔を覆う。それを見てシャーリーは、

「ふふふ、初心だな」

「……シャーリー様の返事を聞いていません」

「…………パラテルルに勝ったら教えてやるさ」

「……約束ですからね」

 顔を赤くしながらもシャーリーを見つめるイネスに、そう言うのだった。それにはぁーと深くため息を吐きながら、

「余計眠れそうにないですよ」

「きちんと寝てくれよ、明日も色々とあるんだからな」

「はぁー……僕はもう少しここに居て眠くなるまで待ちます」

 そう言うイネスに、シャーリーは微笑みながらボトルとランタンを手に取ると、

「そうか、きちんと寝るんだぞ。それじゃ、おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

 そう言ってシャーリーは温室から出ていった。

 イネスはぼんやりと宙を見つめながら『言ってしまった』と思っていた。しかも返事はパラテルルを倒してからということになってしまって、頭を抱えるイネス。

 暫くそうしていたが、手を頭から離すと肘を付いて、また考え始めるのだった。

 そうしてなんとか顔を上げると、ランタンを持って温室を後にした。部屋に戻れば、シャーリーと二人きりという状況に心臓をバクバクとさせながらランタンの日を消して、もう一度ベッドに潜り込むのだった。

「……パラテルル……強いんだろうか?」

 そんな事を呟きながら、毛布を頭から被ってイネスは無理矢理に眠ってしまうのだった。

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