始業ベルに耳を澄ませてみよう!

「♪きーんこーん、かーんこーん~」

「はいはい、似てる似てる。気が済んだなら、田中、とっとと自分の席に戻れよ」

「なあ、山川。始業ベルの音ってさ、小・中・高とあまり変わらないよな。もっと色々なパターンがあったら楽しいのに」

「また突拍子も無く妙なことを。授業始まるぞ」

「例えば、ベルの代わりに最近の流行曲を流せば、みんなやる気が出ると思うんだよな」

「むしろ集中が削がれるんじゃないのか。全校生徒がその流行曲を好きってことも無いだろうし」

「えー? じゃあ、『威風堂々』とか『惑星』みたいなクラシックは? 迫力あるし、よっしゃあ、やるぞ! って気分にならないかな」

「たったの数秒間じゃ、主題部分だけでも半端に切れるだろうしなぁ……お前の口からそんな曲名が出てくることに驚いた」

「あ、それならいっそ、生放送で! 体育の先生とかが、『全体、着席ーっ!』って号令をかければ、条件反射で素早く着席しそう!」

「それはなんか、戦時中みたいな閉塞感があって嫌だ」

「だったら可愛い女子の声と、かっこいい男子の声で! それぞれ校内で人気がある生徒を全校投票で選出する!」

「随所で確執を生みそうな発想はよせ」

「男子バージョンは、憎たらしいが山川になる可能性大だな。甘ったるーい囁きボイスで、『ハァイ、俺の可愛い子猫ちゃんたち☆ もう授業が始まるぜ☆ そろそろ席についてくれないかな……☆』」

「田中、クラス一同すでに着席してるんだが。先生来てるんだが」

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