生物室の中を見回してみよう!

「よーう、モトノブ君! 元気? うん、そうか、それは良かった! 相変わらず良いツヤしてるな、モトノブ君の内臓!」

「田中、気色悪いから人体模型と会話するな。その半身の皮膚が透けた彼は、いつから『モトノブ君』になったんだ」

「『やめてくれたまえ、モトノブのことをそんな悪しざまに言うのは! 我々にだって人権はあるのだよ、ケンゴ君!』」

「骨格標本で腹話術するな。手首?を、掴んで振るんじゃない。今度はなんだ、タロウとかヨシオとかか?」

「彼の名はウィリアム、物腰穏やかなジェントルマン! くれぐれも失礼のないように」

「外人なのか、その骸骨。とにかく、そろそろ席に着けよ。プリント回すぞ」

「お、サンキュー。それにしても、生物室って楽しいよなぁ。見てるだけでわくわくする!」

「そうか? 教室自体が陰気だし、楽しいどころか不気味だろ」

「そうか? あのコケだらけになって緑色になった水槽とか、冒険心をくすぐられるだろ。中から怪物とか出てきそうで」

「あれは生物部員が掃除をサボってるだけだ。フナしか出てこねぇよ」

「生物標本とか化石とか、ケースがカッコよくて、思わずコレクションしたくなるだろ。あれが実は太古の怪物が封印された姿で、ケースを割ったら巨大化して暴れ出したりしたら面白いのに」

「小学生が妄想しそうな内容だな。アホか」

「――いっそ俺か! 俺がケースに閉じこめられたい! コールドスリープして何千年か先の遠い未来で永い眠りから目覚めるんだ! そして始まる、宇宙を股に掛けた俺と未来人たちの大冒険! この世界の未来は俺の手に委ねられたぁぁぁ!」

「せんせーい、準備室の鍵、借りていいですかー? なんか田中が、窮屈なところに半永久的に閉じこめられたいらしいのでー」

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