第5話 新作会議は修羅場と共に

 ​ツボミ寮の俺の部屋は現在、三人の美少女による完全なる占領下にある。机の上には俺のノートPC。その周囲を琥珀と葵が固めている。


 ​「さて、黒白君。新作のプロットだけど」


 生徒会長の葵が言う。


「真白さん、貴方はもっと旦那様に尽くす描写を増やすべきだわ。例えば、朝起きたら全裸で隣に寝ているとか」


「葵お姉様、それ昨日の朝に実演済みよ。もっと刺激的なのがいいわ。例えば……そう、旦那様の『キノコ鑑定』を毎日欠かさないとか!」


「だからキノコ言うな!」


 ​「ちょっと待ちなさいよ!」

 声を荒らげたのは琥珀だ。


「エルフばっかり目立ってズルいわ! 幼馴染のヒロイン属性を舐めないで! 『昔からずっと好きだったけど言えない近所のお姉さん』っていう王道設定、入れなさいよ、真白!」


 ​「先輩、これノンフィクションに近い体裁で書いてるんで……」


「嘘じゃないわよ! 実際、私はあんたが小学生の時に書いた……あの恥ずかしいラブレターの草案、全部屋根裏に保管してるんだからね!」


「それは脅迫だ! 今すぐ燃やせ!」

 ​マシロが不敵に笑いながら、俺のキーボードに手を置いた。


「いいわよ。じゃあ、今からみんなで『ヒロイン力』のオーディションをしましょう。旦那様を一番ドキドキさせた人がメインヒロイン」


 ​真白は俺の耳元で、「ふーっ」と熱い吐息を吹きかけた。

「あ! 卑怯よ真白さん! 会長、私たちも!」

「ええ、琥珀さん。背に腹は代えられないわ。黒白君……覚悟しなさい」

 三者三様の香りが狭い部屋に充満する。俺の心拍数は限界突破だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る