第4話 エルフ、初めてのコンビニ結界

 ​「旦那様! 大変よ、この街には至る所に強力な『自動迎撃結界』が張り巡らされているわ!」

 放課後、マシロはコンビニの入り口で警戒態勢をとっていた。


 ​「ただの自動ドアだ。赤外線センサーで動いてるんだよ」


「センサー? 敵意を感知して開閉する古代遺物のことね! 私が近づくと『ウィーン』って鳴いて威嚇してくるもの」


 俺はため息をつきながら、彼女の背中を強引に押して店内へ入った。

 ​「ひゃうんっ!」と情けない悲鳴を上げるエルフ。

「な、何よこの冷気……! まさかここは、常に極寒の吹雪が吹き荒れる『氷の精霊王の神殿』なの!?」


「エアコンだ」


 ​「……あら。あっちの棚にある『ポテトチップス』っていう黄金のカードは何? 触るとパサパサ鳴るわ。魔力を充填すると爆発するタイプ?」

「ただのスナック菓子だ。……って、おい、そっちは──」

 彼女が吸い寄せられるように向かったのは、雑誌コーナーの奥。成人向け雑誌が並ぶ聖域だった。


 ​「……っ! 旦那様、見て! この書物、表紙の女性たちがみんな自分の『秘部』をさらけ出しているわ! この世界の倫理観、エルフよりよっぽど進んでるわね!」


「違う! それは特殊な欲望の結晶なんだよ!」


 ​マシロは真剣な顔でその中の一冊を指差した。

「でも、この本のタイトル……『現役女子高生エルフと過ごす禁断の熱帯夜』。……これ、私のプライバシーの侵害じゃないかしら?」

 ──────────

 真白は差し出された肉まんを一口齧ると、「……んふ、美味しい。精霊の恵みの味がするわ」と、とろけるような笑みを浮かべた。

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