第3話 碧き生徒会長の、隠された聖域

 ​新学期初日。色々あって学校に通えることになったマシロになんとか制服を着せ、俺は登校した。


「いいか、魔法は使うな。耳は髪で隠せ。あと、俺を旦那と呼ぶな」


「わかったわ! ダーリン!」


 ​校門をくぐったところで、生徒会長の碧海葵に呼び止められた。腰まで届く艶やかな黒髪をストレートに流し、冷徹さを感じさせる切れ長の青い瞳が知的な眼鏡の奥で光る。


 ​「黒白君。そちらの、非常に……設定が渋滞している方はどなたかしら?」


「留学生のマシロさんです」


「初めまして! 私、マシロです! 昨夜、彼と『婚姻の儀』を済ませました!」


「婚姻の……っ!? 黒白君、あなた、神聖な学び舎に何を連れ込んでいるの!?」


 ​葵の顔が真っ赤になる。だが、その時、風が吹いてエルフの耳が露出した。

「……エルフ?」


「いいわ。今すぐ生徒会室に来なさい。徹底的に『事情聴取』が必要だわ」


 ​連行された生徒会室で、葵はドアをロックすると、椅子に深く腰掛けた。


「本物ね……。その耳の質感、昨日の『月刊ファンタジア』の巻頭カラーに載ってた種族特性と完全に一致するわ」


「会長、キャラ崩壊してます!」


 ​「うるさいわね! 私はね、君の打ち切りになった『剣聖のキノコ』を全巻予約して、特典のポストカードを神棚に飾ってる唯一のファンなのよ!」


「……え、あの黒歴史を?」


「そうよ! だから、実物のエルフを連れてきた君を、私は全力でバックアップするわ! これで新作を書きなさい! 私が全面監修してあげる!」


 ​エルフは「文字数稼ぎに私のおっぱいのサイズでも教えようか?」と不敵に笑う。この学校に、まともな奴は一人もいない。

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