この飯作品、ただのチート飯テロにあらず
- ★★★ Excellent!!!
異世界で飲食ネタというと、割と鉄板のムーヴがあるわけです。
現代日本の料理無双と、その食材の安定供給。
最序盤からその両方を体現した存在であるチート魔法「料理魔法」という存在を目にしたとき、正直「ああ、この作品も一種のテンプレ的なお手軽チートクッキング作品か」という評価が拭えませんでした。
が、この魔法は決して万能ではなく頼りきりではいけないこと、この魔法を正しく扱うための制約、そしてこの魔法の持つ可能性などが示唆された時、初めて「そうだよそういうの!」と膝を叩きました。
それによってはじめて、ファミレス的な均一のクオリティだった主人公の味が、オンリーワンな「一人の職人の味」へとステップアップしていき、やがては料理大会で大波乱の展開を巻き起こすわけです。
そして、第一章の終盤で、そこに至るまでに丁寧に隠され筒埋め込まれた伏線が一気に回収されていった時には、思わず描くシナリオのサブタイトルを一つ一つ丁寧に再確認しました。
あっすげえ、確かにこれ共通点あったわ! そういう縛りで作ってたんだ……と。
また、本作品では異世界作品でたびたび取り上げられる「地名に由来する料理」問題が、なかなか強引かつユニークな方法で解決されており、その部分でもちょっと感心してしまったり。
ともかく、埋もれているのが実にもったいなくて惜しい作品です。
現時点で連載がストップしているとはいえ、一章というキリのいいところまでで完結しているため、実に気分よく読み終えることもできます。
願わくばこのレビューで作者様が再び本作品の執筆を再開していただけることを望みつつ、さらなる読者が現れ応援してくれることを願います。