奏と僕と その2
ひとさんへ
おかえりなさい。ひとさん。
今夜はカレーです。座敷童特製の野菜ゴロゴロカレーを作っておいたので食べて下さい。冷蔵庫に、ひとさんが大好きな鶏肉の照り焼きも漬け込んでおいたから食べてね。
私に、全てを見せて向き合ってくれたひとさん。キラキラ輝いてるひとさんが好きです。くよくよ下ばっか向いてるひとさんは、やっぱり嫌い。でもそんな時に、あとは上がって行くだけだってお尻を叩いたら、必ず応えてくれるから、ひとさんが好きです。
泣いてる姿を見せても、離れていかず側にいてくれたのは私だけだと、よく言ってくれてましたね。私は正直、ひとさんから離れようと悩んだ時が何度もあります。大喧嘩しちゃった時もそうです。本当に好きなのか分からなくなって、どうしたらいいのか悩んで悩んでパンクしちゃいそうな時期もありました。ひとさんの顔色を伺ってしまって、なかなか思うことを伝えられず、溜め込んでしまうことも多かったです。
だけど、こんなにも私の喜怒哀楽を素でぶつけられた男性は、ひとさんしかいませんでした。
お互いに何か問題が起きても、話し合って、ごめんって謝ることができて、ありがとうってお礼を言い合えることが出来るから。だから私たちは長続きするんだろうなって、こないだ思ったんだよ。
悩む必要なんてないくらい、ひとさんと一緒にいると居心地がいいんです。いつも大切にしてくれて、心から大切にしてくれて、本当にありがとうございました。
どれくらいで変化してくるのかな。すぐにでも理性を失うかもしれないから、急いで手紙を書いています。驚いたよね。ごめんね。
ひとさんは、私が化け物みたいな姿になっても、絶対に抱きしめて離さないでしょ。だから、スッと家を出て行くべきなんだろうけど、今は凄く会いたいです。
一度、ゴリッて音が鳴るほど噛んだことあったね。血が出た時もあったね。段々と噛む力が強くなっていくのに、いつも黙って腕を差し出してくれるひとさん。笑ってすましてくれてたひとさん。もう噛みつくのも冗談じゃすまなくなりそうだよ。
もし、ひとさんが帰ってきた時に、私じゃなかったら、私じゃない何か別の私が家にいたら、許してくれますか?
ひとさんの料理、もっと食べたかったな。台所に立ってくれているひとさんが大好きでした。
休みの日に、私より30分早く起きてご飯を作ってくれるひとさん。絶対に車道側を歩いてくれるひとさん。いつも体調を気にかけてくれるひとさん。階段を上がれなくて後ろから服を引っ張る私を、連れて上げてくれるひとさん。必ず駅まで迎えに来てくれるひとさん。いつもおかずを少し多めにくれるひとさん。深夜のベランダが怖い私の代わりに、洗濯物を干してくれるひとさん。シャンプーの泡を私に洗い流させてくれるひとさん。好きなだけ噛らせてくれるひとさん。まだまだたくさん、大好きなひとさんがいるよ。
会いたいよ。怖いよひとさん。ひとさんとずっと一緒にいたい。いつもわがままを言ってごめんなさい。大好きです。あんまり好きとか言わない私だけど、今は言いたい。ひとさんに出会えて本当に良かったです。私は幸せだったよ。
大好きです。ひとさん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます