第21話 喜怒哀楽のジェットコースター
「上がれ! もっと上がれ!!」
興奮のあまり思わず声が出る。
9時30分に960円で寄り付いたサクセスバイオの株価は、それから勢いよく上昇し15分後には1000円に到達していた。
俺が買った株数は1500株。この時点で6万円の利益だ。
証券口座に入金していたのは150万円。興奮のあまりすべてをサクセスバイオ株に投資してしまった。いくらなんでも買いすぎだ。最初は慎重にいかないと……。とは思わなかった。
もう株価は1000円を超えている。俺の判断は正しかったんだ。リスクを取ったぶんだけリターンは大きくなる!
その後もサクセスバイオの株は乱高下を繰り返したが、10時30分には1060円にタッチした。利益は15万円になっている。
嵐のような株価の動きは、俺の感情を激しく揺さぶった。株価が下がれば鬱屈とした感情が押し寄せ、上がれば歓喜が全身を駆け巡る。喜怒哀楽のジェットコースターに翻弄されながら俺は相場に熱中していた。
気づけば11時30分。東京証券取引所の午前の取引が終わった。こんな濃密な2時間を過ごしたのは生まれて初めてだ。
サクセスバイオの株価は1050円。もちろんまだ売ってない。もともと1200円の株なんだ。まだまだ上がるはずだ!
俺の読みは当たっていた。
サクセスバイオの株価は、午後も買い注文が断続的に入り、ジワジワと高値を切り上げていた。午前ほどの勢いはないけれど、下落するとすかさず買いが入る。やっぱり安いとことはみんな拾いたいようだ。
テロの影響で世界が不景気になっても、ガンの薬の需要がなくなることはない。これは俺の勝手な思い込みなんかじゃない。たくさんの人がそう思っている! だからサクセスバイオの株は買われるんだ!!
昨日の夜に浮かんだ強烈なひらめきは、いまや揺るぎない確信に変わっている。
いける! この勝負はまだまだいける!! 自分の内側からあふれ出した熱気が、俺の心をさらに高ぶらせた。
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