10話: 彼女と登校イベント ③
今日分かったことというか、気づいたことがあるが
やはり、花の中には、2つの顔があるらしい
親しい友人のような、顔と、もう一つ近寄りがたい顔
この2つの、顔によって自分を守っているのか、はたまたメリハリをつけているのかは、分からない。
気づいていなかった訳ではないが、今日話していてはっきりしたことだ
ただまあ、それは予想できることだった。
完璧なモードの時であれば、男子への対応がしやすい、その顔をしていた方が、模範に見えるだろうし、色々と都合が良いことが伺える。
ただ、そのモードだけであれば、都合が悪いこともまた、多いのが予想できる
友人モードがあれば、そこを補えられると考えられるだろう。
というか、それが無いと日常生活は、送りにくい、いちいち友人を作るときも一人だけ、なんか雰囲気がずれてしまうという事態になりかねないと思われる。
そう考えるとその2つの顔は合理的なのだろうと思う。
まぁ、今は関係ないことには違いない。
今は、電車を降り、花と同じ道を歩いているが
花は、電車を降りてから、下を向いてぶつぶつと独り言を言っていて、突然話し出しにくい空気になった。
今は、その真っ最中である。
その形相を見ていると、真剣であり、内容は聞いてはいけないことが分かるが
本当に突然なので、手が空いてしまい、それで俺は、俺の方でで整理しようと思って、先のようなことを考えていたというわけだ。
ただ、花と歩いているだけで視線を感じ、そして会話がないことで周りの空気もよく分からないことになっているというのも、また事実。
電車で来た人たちも当然いるが、電車で来ていない、特に
「お?もしかして、花?」
周りを見ていると、目の前に急に身長の高い女子が現れて、俺は驚く
「あ、おはようございます、ミツバさん」
「おはよ~、花が男と登校してるの、珍しいね、もしかして彼氏とか?」
あくまで、会話の中の冗談のような空気だ。
急に男子と歩いていたら、そう聞かれていてもおかしくないことは頷ける。
そして、この会話から恐らく、ミツバというのは、花の友達なのだろうと、予想できた。
「はい!彼氏の雄太君です!」
そう言って、満面の笑みを浮かべる。
正直、今までの中で一番の笑みかもしれない。
俺が、客観的に自分を見た時、彼女と釣り合いをとれていないことが分かるし
普通であれば、彼氏という発想になるまで、時間がかかる
ミツバもも、どうやらそうだったらしい。
「...」
その質問をした、張本人であるミツバは、予想外だったのか、驚いている様子で固まっていた。
そして、花と仲良くできるのは、そういう所にあるのかもしれないとなんとなく、分かった気がする。
裏表がないということだろう、本音で話をするから、こういうことも普通にある。
本音や冗談を交え、普段から仲良くしていることがここで分かる。
花が、その様子で怒りだすなんてことも、考えたが、ミツバの表情をみて、ニコニコする。
ただ、このままで居ては、いけないだろう。
俺は、仮にも彼氏なのだ、そしてこのままで黙っていては、いけないのは確かなことで、
となれば、俺の番がここで、来ることが分かる。
「あの、付き合わせていただいてます
三田 雄大ともうします、以後お見知りおきを...?」
おかしいことは、分かっている。
初めましての挨拶(同級生)としては固く、一方で家族への挨拶と同等の
しかし、花はニコニコしてる
「...ちゃんと彼女って認めてくれるんですね」
小悪魔っぽい雰囲気が出ているが、言質を取りましたよ?ということなのか分からない
はたまた、自分から言ったということが彼女のこの調子を作り出したのかもしれない、ただただ空気感がよろしくない。
「花の友人の、久隆ミツバともうします
ミツバ、3つの葉っぱで三つ葉です。
末永くお幸せによろしくお願いいたします..?」
それは、よくわからない空気感だった。
シーンとした、空間によって空気が停滞してしまうのを感じる。
明らかに、おかしい。
ミツバさんも、予想外の回答で、頭の中がパニックになっていることが分かる。
返答として、ずれていて。
そこで、花が「ぷっ」と笑いだす。
「はははははは、雄太君も、ミツバもおかしすぎ
なんでそんな固いの?
雄太は、私の彼氏
ミツバは、私の友達OK?
昨日から、付き合い始めたんだけど
二人とも、末永い関係になるだろうから よろしくね!」
そんな風に言うが、色々とおかしい気がする。
それから、こんなところで、高嶺の花が男といて
そして、ここで、友人への紹介を交えつつ
彼氏という事実を、周知させているという事実がまずいことに気づくが
もう既に、手遅れだろう。
『おい、今の聞いたか?』
『付き合ってるとか、言ってなかったか?』
『いや、でも水田さんは、四天王の告白を振ったらしいよ』
『...くっ、俺は夢を見ているのかもしれない』
『じゃあ、ほっぺを』
『いってぇ!何やってんだバカ!』
という、声が聞こえてくる。
他にも、色々あるが、突っ込みどころは
四天王ってなんだ?
高嶺の花に続き、四天王どういう文化なのか分からないが
そういうのが、中二で終わらず、引き続いているということに、衝撃は...
まぁ、俺も高嶺の花とか百合の花園とか言っている時点で手遅れだな
彼女と付き合ってから、色々と学ぶこと
悟ることが増えたと思う。
こうして、水田花に彼女がいる話が、この学年だけじゃなく、他学年にも、一気に広がっていく原因になるわけだが。
それは、後日分かることで。
とりあえず、今は学校へと向かわないと大変なことに。
さっきスマホを、チラ見して気づく。
「なぁ、花、そろそろ行かないとまずいぞ
こんなところで時間食うと、学校に遅れちまう。」
「あ、そう?
楽しくて、時間忘れてたけど
そうだね、ミツバもいっしょにいこ~」
「...花...花呼びなんだ、なんか彼氏羨ましい...」
若干1名から、何かを感じたが
これも、また一つの日常として、当たり前になっていくことは目に見えているので
何も突っ込まない。
このまま、学校について、そして教室につく前に別れて
もしかしたら、この後四天王とかいうやつが決闘してくるのではないか?とか考えたりするが、まぁ心配するのは実際に起きてからにしよう
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