第11話 推しとはつまりロマンです。
(厨房の中を歩き回るミリカ)
ミリカ「あれー、ないよないよスパイスミックス。最後に使ってどこ置いたっけ? 」
(食品庫の扉を開けるミリカ
その先には食品庫ではなく、いつものあの部屋が広がっている)
ミリカ「おっと、これはこれは〜? 」
(ミリカが中に入ると、反対側の壁に扉が現れる)
(入ってきたのは、フロース)
フロース「師長? います? 」
ミリカ「いませーん! 」
フロース「ミリカさん! ってことは!? 」
ミリカ「いひ、そゆことー。」
(ガラガラと音がして、2人の後ろに突然シャッターが出現)
ルスキニア「チルー、散歩行くじゃ。」
ルスキニア「ん!? 何なんここは。」
ミリカ「ニア! ついに来たね! 」
フロース「新メンバーですね! 」
ルスキニア「は、え!? 何!? 」
(ルスキニアにこの部屋について説明する2人)
ルスキニア「はぇー、みんなそげんことしちょったんね。全然知らんかったじゃ。」
フロース「普段なかなかゆっくり話をする機会がないから、色んな話が聞けて楽しいんですよ。」
ルスキニア「もーう、知らんうちに仲間はずれにされちょったってこと? やだわぁ、妬いてしまうわ。」
ミリカ「今仲間になったでしょ。」
【自己紹介してください
名前、推し、マイブーム】
ミリカ「はいはーい! ミリカ・ルブラ。推しは内緒! マイブームは貯金箱集めかな? 」
ルスキニア「貯金箱買う分の現金貯めたらよかやない。」
ミリカ「貯金箱はロマンなの! 」
フロース「でも分かります。使わなくても可愛いものに囲まれるとテンション上がりますよね。」
ミリカ「それそれ! 最近いつもの肉屋さんがお得意様限定の貯金箱をくれてね、厨房のみんなはいらないっていうからこっそり……。」
フロース「それ言わない方がいいやつじゃ? 」
ミリカ「あ、そうだね。いひひ。次どうぞ。」
フロース「フロース・イーリス。推しは……誰かしら。よく分からないです。マイブームは恋愛小説を読むことです。」
ミリカ「小説じゃなくてさ、リアル恋愛しなよ! 」
ルスキニア「そうじゃ。ってか、しちょらん頭なん? 何で? 」
フロース「いや、仕事が忙しいので……。」
ミリカ「これなんだよ? もームズムズしちゃう! 」
ルスキニア「ニブちんもここまで来っとビョーキじゃね。」
フロース「何言ってるんです? よく分かりませんけど、次どうぞ。」
ルスキニア「あいよ。ルスキニア・メガリンコス。推しって何? 」
フロース「平たく言えばファンみたいなものです。」
ルスキニア「あー、そげんことね。アンタ推しおるじゃね。」
フロース「いや、別に……。」
ミリカ「いるよね!? おっかしいんだよ! 」
フロース「だから、何を言ってるんですか? 教官、自己紹介してくださいよ。」
ルスキニア「まあ……まあよか。えーと、推しじゃったね。推しは……自分! マイブームは蚤の市で食器買うことかね。」
ミリカ「推し自分とか……何でそんなに自信満々なの? 」
フロース「でも大事なことですよね。羨ましいです。」
ルスキニア「自信とかじゃなかよ。全面的に自分ん味方してくれっとは自分しかおらんじゃ。推すしかなかやろ。」
ミリカ「強いねぇ……。」
フロース「食器はどんなの買ってるんです? 」
ルスキニア「んー、アンティークっぽい酒器とか……渋いんが好きよ。」
ミリカ「食器棚の中すごいよね! 一人暮らしなのにあんなに揃えてどうするの? 」
ルスキニア「別によかやろ。ほら、ロマンじゃロマン。」
ミリカ「やめてよもー。」
フロース(ミリカさん、なんかちょっと嬉しそう……? )
ルスキニア「ところで、このお茶とかいただいちゃっていいん? 」
フロース「いいみたいですよ。いつも絶妙に欲しいおやつが出てくるんです。」
ミリカ「今日も美味しそう。見てこれ。ウーピーパイ。」
フロース「私はプレッツェルです! ルスキニア教官は……。」
ルスキニア「ふっとかウインナー。」
フロース「ぶふっ……! 」
ルスキニア「なーんで笑うん。」
フロース「い、いや……似合いすぎて……。」
ルスキニア「相変わらず失礼な子ぉじゃね。まあ、お腹空いてたからありがたいわ。」
ミリカ「それハーブ入り? 1口味見させて。」
ルスキニア「よかよ。ほれ。」
(フォークに刺さったウインナーを差し出すルスキニア
齧り付くミリカ)
ミリカ「んー、ハーブウインナーかぁ。爽やかでいい感じ。」
(自分もウインナーをかじるルスキニア)
ルスキニア「あーこれ、酒ば欲しくなるじゃね。」
ミリカ「赤だね。間違いない。」
ルスキニア「よかねぇ。キリッと冷やしてな。」
ミリカ「冷やすのは邪道でしょ。ワインは常温がマストだよ。」
ルスキニア「分かっちょらんねえ。冷やした時の渋みが最高なんじゃなかと? 」
ミリカ「冷やすと香りが鈍くなるじゃん。」
ルスキニア「香りより味じゃろ。」
フロース「あのあのあの……ごめんなさい、私もいます。」
ミリカ「ああ……ごめん。」
ルスキニア「そういやおったね。忘れとったわ。」
フロース「もう! ひどいです! 」
【最近爆笑したことは? 】
ルスキニア「この間さ、アルデアの実家から荷物運び出したじゃろ? その報酬に夕飯奢らしたんよ。」
ミリカ「ああ、言ってたね。これみよがしに高いのばっかり頼んで腹立ったって愚痴られたよ。」
フロース「何やってるんですか……。」
ルスキニア「んでな、なんっかまだ飲み足りんで、うちに呼んで宅飲みしたわけ。そしたやさ、秒で潰れて爆睡。」
ミリカ「相変わらず下戸だねぇ。」
ルスキニア「んでな、こっからじゃ。仕方ないからソファにでも寝かしとこち思って抱え上げたらさ、あん人何て言ったと思う? 」
フロース「むにゃむにゃ……とか? 」
ミリカ「それ定番すぎ! 」
ルスキニア「はっずれー。正解は『フロース、もういい。そんなに食べられない。』じゃって。」
フロース「なっ……!? 」
ミリカ「だっは! 夢の中でまでご飯作ってもらってんだ! 」
ルスキニア「それ聞いて笑い止まらんでさ。抱えてたん忘れて床に落としてしまったんよ。」
フロース「ちょっとちょっと! 危ないですよ! 」
ルスキニア「しこったま怒られたわ。」
ミリカ「いいねえ。夢に出るくらい思われてて。」
フロース「か、からかわないでください……! たまたまですよ! 」
ルスキニア「そうじゃろうか……。」
ミリカ「どうでしょうか……。」
フロース「お2人ともニヤニヤしないでください! 」
フロース「最近の爆笑エピソード話せばいいんですね! 私話しますよ! 」
ミリカ「顔が赤いよぉ? 」
フロース「気のせいです! 」
フロース「私は……えと……私の爆笑エピソード……。」
ルスキニア「せめて考えてから喋り出しぃよ。」
ミリカ「可愛い! 可愛いよフロース! 」
フロース「もう! じゃあミリカさん! 先にどうぞ! 」
ミリカ「えー? 私? 爆笑かぁ。」
ミリカ「ディオネアくんがご飯食べに来たんだけどさ。たまたまアズキさんもいて、2人でお盆持ってすれ違おうとしてたの。でもさ……ひひ……。」
ルスキニア「ちょっと、話しながら笑うんはいかんて。」
ミリカ「ごめんごめん。ディオネアくんもアズキさんも、お互いを避けようとして同じ方向に動いてさ……ひひっ……。」
フロース「割とあるある話じゃないですか? 」
ミリカ「違うの……。なんか2人ともやたら息ぴったりでさ、10回くらい連続で同じ方向に避けようとしてて……私もそこまでなら耐えれた。でもアズキさん、最終的にディオネアくんの顔に消毒スプレー吹きかけてさ。もうダメだったよ。」
ルスキニア「タッハハーー! 理不尽! 」
フロース「師長……ふふっ……酷すぎません? 」
ミリカ「ディオネアくん、お盆持ってるから顔も拭けないでさ……立ったまま耐えるしかなくて……ひひ……可哀想で可哀想で……いひ、いひひひ……。」
フロース「ミリカさんそれ可哀想な顔じゃないです。……んふふふ。」
ミリカ「ああ、ダメ……思い出したらまた笑えてきた……。」
ルスキニア「さ、フロース追撃じゃ。ミリカの腹筋割っちゃり! 」
フロース「ええ、この話に勝てるエピソード持ってないですよー。」
ミリカ「残念! もう割れてます! いっひひひひ! 」
フロース「なんかさっきからミリカさんのテンションおかしくないですか? 」
ルスキニア「こん子は笑い出すと止まらんのよ。」
ミリカ「ひひ……ひひひひ……んで、フロー、っひ、フロース、の、爆笑……エピソード……ひひっ。」
フロース「喋れてないです! 」
フロース「えっと……最近爆笑したのは、ラルス先生が副師長の砂糖入りコーヒーを飲んじゃって、副師長がラルス先生のブラックコーヒーを飲んじゃって、2人同時に吹き出しちゃったこと……。」
ミリカ「いっひひひひひひ! 最高! 」
ルスキニア「笑いすぎじゃ! 」
【最近褒められたこと】
フロース「ディオネア先生に……ふふっ……書類の字が綺麗だって褒められたくらいですかね。」
ルスキニア「タハッ、引きずっちょる引きずっちょる。」
ミリカ「ひー……ひー……。もうやめて……。ディオネアくんの顔が浮かぶと笑いスイッチ入る……。」
フロース「理不尽! 」
ルスキニア「私はアレじゃね、師長に『食の太いことで羨ましい』ち言われたわ。」
ミリカ「それホントに褒められてる? 」
フロース「まあ、師長はあまり食べる方じゃないですからね。教官の食べっぷりが羨ましくなる気持ちは分かります。」
ミリカ「あたしは髪がきれいって誉められたな。」
ルスキニア「え、誰に? 」
ミリカ「誰って……アルデアだけど。」
ルスキニア「あ、ああ、あん子ね! そかそか。良かったやない。」
フロース(何を焦ってるんだろ……。)
ミリカ「金髪に憧れてるんだって! 可愛いよね! 」
ルスキニア「別にいいこともなかち思うけどね。」
【今日の夕飯、何にする? 】
ミリカ「パスタとスープ、あと、かぼちゃサラダかな! デザートはゼリー! 」
フロース「バランスよくて美味しそう! さすが栄養士ですね! 」
ルスキニア「昔っからかぼちゃ好きじゃねぇ。」
ミリカ「美味しいもん。美肌になりたいしね! 」
フロース「ミリカさんって、プライベートでもフラヴェリアで栄養いじったりしてるんですか? 」
ミリカ「なるべくはいじらないようにしてる。何にどれだけ栄養が含まれてるかは見れば分かるしね。そのままの素材を料理してるよ。」
ルスキニア「まっじめじゃねー! 私だったら夜中に小腹空いた時、栄養ナシにして間食しまくるじゃ。」
フロース「分かります。夜に限ってこれ絶対太る!っていう食べ物ばっかり欲しくなりますもんね。」
ミリカ「もー、2人ともホントに……。」
ミリカ「まあ、でも、それはぶっちゃけやっちゃうよね。」
フロース「やっちゃうんだ……。」
ルスキニア「タハッ! やっぱりな! 」
ミリカ「で、でもほら、私たちは普段の食事に気を付けてればそうそう太らないから……! たまにだよ! ほんと、たまに! 」
ルスキニア「ちなみに昨日の夜は何食べたん? 」
ミリカ「鶏胸肉の塩茹で……。」
ルスキニア「そんなん気にせんでよかやろ! ありのまま食べ! 」
ミリカ「2枚は多かった……。」
フロース「夜中によくそんなに食べられましたね……。」
ミリカ「山に行った後だったからね! 」
フロース「山!? 」
ミリカ「フロースは今日何食べるの? 」
フロース「え、山……。」
ルスキニア「何ってか、誰と食べるん? 」
フロース「何でそんなこと聞くんですか! 」
フロース「今日は……簡単にパン屋さんで買ったベーコンエピと卵のスープくらいですかね。」
ミリカ「どこで食べるの? 」
フロース「自分の家ですよ。」
ミリカ「え? 何で? 」
フロース「自分の家だからですよ! 」
ミリカ「毎日行ってるんじゃないの? 」
フロース「まさか! さすがにそんなに行きませんよ……。週3くらいでしか……。」
ルスキニア「そいも十分多いじゃろ……。」
ミリカ「一人で食べるの寂しくない? 」
ルスキニア「人恋しくなったら呼んでよかよ。」
フロース「お2人とも私を何歳だと思ってるんですか……。」
ルスキニア「子供じゃろ。」
ミリカ「子供だね! 」
フロース「またからかって! もう19ですよ! 成人して3年も経つんですから、子供扱いやめてください! 」
ミリカ「いひ、冗談だよ。」
フロース「ルスキニア教官は何を食べるんですか? 」
ルスキニア「私は食パンとハムとサラダじゃ。」
フロース「あれ、意外と少食ですね? 」
ミリカ「ニア、ちゃんと言いな? 食パン2斤とハム丸ごととサラダをボウル1杯でしょ? 」
ルスキニア「タハッ! バレたか! 」
フロース「そんなに食べるんですか!? 」
ルスキニア「性格には食パン2斤とハムを原木で3本、サラダはボウル2杯は行きたいじゃね。あとお酒。」
ミリカ「惜しかったかぁ! 」
フロース「惜しがらなくていいです。よくそんなに食べられますね……。」
ルスキニア「食べんと体もたんからね。」
(現れる扉)
【たくさん話してくれてありがとう】
【また来てね】
ルスキニア「ほいよ、結構楽しかったわ。」
ミリカ「毎回ここに来るの楽しみなんだよね。」
フロース「私はお2人のコントを見せられてるみたいでしたよ……。」
(扉をくぐる3人)
本編は毎週金曜21時に公開しています!
現在第20.5話まで更新中!
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